【ニュース・イギリス】英国研究会議がEU国民投票後の国際連携に関する声明を発表

7月6日、英国研究会議(RCUK: Research Councils UK)がEU国民投票後の国際連携に関する声明を発表した。

 

英国の科学研究における卓越性は確立されており、英国の研究者は国際連携の協力者として引く手あまたであるが、その成功は優秀な研究者の国境を超えた研究パートナーとの協力と施設の共同利用によっている。我々は、英国の研究者が欧州あるいは世界中のパートナーと連携ができるようにし、それを促進していく。

 

国民投票によりEU離脱が決定したが、我々は、研究者コミュニティや政府と協力し、英国が世界をリードする研究国家としての地位を維持できるようにする。研究者には、英国がEU加盟国である間、EU諸国の研究パートナーやEUの助成の枠組みにこれまでどおり関わり続けることを奨励する。将来の英国のEUとの関係については、全体としても、また研究システム面にどのような影響があるかも不確実であるが、我々は政府と連携し、今後のEUとの協議の中で英国の研究者の懸念と需要がきちんと伝えられるようにする。

 

1. 国民投票の結果を受け、研究会議の国際連携活動についての英国の研究者と他国のパートナーとの関係に関する質問が増えている。今後の英国の研究について、我々は政府と連携し、分かり次第さらなる情報を提供していく。また、現在英国で働き、世界レベルの研究に貢献しているEU諸国からの研究者や学生を引き続き支援していく。

 

2. 我々の希望は、英国が最も研究やイノベーションに適した国であり続けることであるが、それは、英国の研究者が世界中の最高の組織や研究施設に関わることができて初めて実現する。我々は政府と連携し、英国が世界クラスの研究国家として、世界に開かれた状態であり続けるようにするとともに、国境や分野を超えて優れた研究を引き続き支援し、国際的な研究パートナーとの連携を促進する。

 

3. 英国内及び諸外国にある世界クラスのあらゆる研究施設を利用できる状態でいることは、英国が優れた研究拠点であり続けるために必須である。RCUKは、それを可能にするために引き続き働きかけるとともに、英国の最先端の研究施設を研究環境の活性化のための原動力として促進していく。

 

(英国が参画している欧州とのパートナーシップによる主要な大型研究計画のうち、EUの機関によるものではなく、影響がないとされるもの)

 

セルン(CERN)、ヨーロッパ南天天文台(ESO: European Southern Observation)、欧州宇宙機関(ESA: European Space Agency)、ランジェバン中性子研究所(ILL: Institute Laue-Langevin)、欧州核破砕中性子源(ESS: European Spallation Source)、欧州シンクロトロン研究所(ESRF: European Synchrotron Radiation Facility)、スクエア・キロメートル・アレイ(SKA: Square Kilometre Array)、T2K、レーザー干渉型重力波天文台(LIGO: Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)等

 

4. RCUKは、引き続き、グローバル・リサーチ・カウンシル(GRC)、サイエンス・ヨーロッパ、OECDグローバル・フォーラムなどと連携し、国際的な研究戦略や政策立案に機関として貢献していく。

 

5. 研究会議は、引き続き研究者の流動性の価値を強調していく。首相が発表したとおり、EU在住の英国民、英国在住のEU諸国民のステータスは、すぐに変わることはない。これは、英国の大学で学んだり働いたりしている者も同じである。

 

6. 英国は欧州の研究・イノベーションにおいて先導的で重要な役割を担っている。英国の研究者が、将来どのような形でEUから助成を受けたり、EUの研究プロジェクトに参画したりするかは今後議論される問題であるが、政府は、英国が引き続き、欧州とのあるいは国際的な研究において中心的役割を果たしていけるようにすることを目標としている。また、研究会議は、現在全てのレベルのEUの助成プログラムや関連する政策議論に積極的に関わっており、欧州中の他の研究助成機関や研究機関とも強い協力関係を有している。

 

7. Jo Johnson大学・科学大臣が確認したとおり、英国がEUのメンバー国である間は、英国の研究者は、ホライズン2020への申請や参加をこれまでどおり続けることができる。研究会議は、EUの助成プログラムから生ずる既存の責任と義務を引き受け、欧州の仲間たちとの強い協力関係を保っていく。

 

8. 英国研究オフィス(UKRO: UK Research Office、研究会議の欧州事務所)は、通常どおりのサービスを提供し続けるとともに、最も質問が寄せられている事項について、詳細が分かり次第、最新情報を提供することとしている。UKROは、研究会議と緊密に連携を取りながら、研究コミュニティと全ての利害関係者との間を円滑にする役割を担っている。

 

9. 我々は、英国の研究者が重要課題に取り組む際の研究パートナーであり続けられるよう、既存の協力関係を強化するとともに、科学面での新興国との新たな協力関係を立ち上げる。特に、中国、インド及びアメリカにあるRCUK事務所では、引き続き国際協力の新たな機会を見つけていく。また、二国間・多国間のイニシアチブ、グローバル・チャレンジ研究基金(Global Challenge Research Fund)やニュートン基金(Newton Fund)を通じ、新興国の直面する課題解決のための最先端の研究を支援していく。

 

10. 大学院課程に在籍するEU諸国の学生が研究会議から受けている奨学金については、現在既に受けている学生、2016~17学事年度に入学する学生とも、その課程を修了するまで受けることができる。

 

11. RCUKは英国の研究コミュニティに関する問題について、引き続き政府と連携を取り、できることから情報提供していく。

 

Research Councils UK:RCUK Statement on international collaboration post EU referendum