【ニュース・イギリス】英国大学を卒業し、英国で就業している留学生の貢献度

 
2019年3月21日、ロンドンエコノミックス(英国の経営コンサルタント会社)の委託を受け高等教育政策研究所(Higher Education Policy Institute:HEPI)とKaplan(米国に本拠を置く国際的な教育企業)が、英国の大学を卒業し英国で就職した留学生の経済的貢献度を発表した。
 
大学卒業後の留学生からの英国税収が示すのは、大学を卒業したあと英国に働くために留まった留学生集団からの税金と国民保険料は総額32億ポンドということである。
 
その内訳は:

  • 所得税として10億ポンド以上
  • 被雇用者の国民保険料として7億ポンド以上
  • 雇用者の国民保険として8億ポンド以上
  • 追加付加価値税としておよそ6億ポンド

 
英国で就業しているEU諸国出身の卒業生は12億ポンド貢献しており、その他の国からの貢献度は20億ポンドであった。
 
さらに分析では留学卒業生は英国の深刻な技能不足で打撃を受けている分野に雇用されていることを示しており、英国人卒業生を置き換えているのではなく技能不足を補っていることも示している。
 
また報告書では2012年の内務省による卒業後の就業権利制限の影響に関しても評価している。この制限は財務省に毎年1億5千ポンドもの費用をかけさせている。これは5年ごとに7億5千ポンドもしくは2012年に初めて卒業後就業の制限された時以降10億ポンド以上支払っていることになる。
 
HEPIのディレクター、Nick Hillman氏 は以下のように述べている。

「大学は、高等教育における政府の最大の過ちが、留学生が英国に来るのをやめさせようとしていることだと確信している。好ましくない状況がこの10年間近く続いている。留学生の数が減っていないことは、高等教育部門の強みを証明するものであるが、他国の成長ペースに追いついていけないことは極めて深刻である。
内務省は留学生が英国に利益をもたらすことを示す十分な証拠は無いとかつて述べていた。留学生が年間200億ポンドを寄付したことを示し、我々は昨年そのことが誤りであることを証明した。しかし、その後も、移民諮問委員会は英国で働く留学生が積極的な貢献をしていることを示す証拠がいまだ不足していると主張している。
我々は、今その主張にも反論できる。英国で働く留学生のわずか1集団が30億ポンドを英国財政局に寄付しており、そしてその額は、政策決定者が2012年に研究後の労働権を制限しなければ、さらに増えていただろう。新たな方法がすでにタイミングを逸していることを、これらの厳しい証拠が示している。」

 
Kaplanの上級副社長、Linda Cowan氏は以下のように述べている。

「留学生に対する研究後の労働権の制限は、学生をイギリスに惹きつける努力を妨げ、他国よりも留学生数の成長が緩やかにしている。政府白書における、最低賃金額を30,000ポンドにする提案は、疑いなく我々を競争的でないようにしている。このことは、英国が長期間得てきた重要な、経済的、教育、ソフト面での大きな損失をもたらす。
我々は留学生が英国経済に貢献してきたいくつかの方法のうちのひとつが技能不足を補うことによるものである証拠を有している。彼らの高い英語力と優れた学業成績を考えると、我々は留学生が英国に留まり働くよう促すべく可能なことは全て実行すべきである。そのためには、我々は全ての留学生のため、魅力的で競争的な研究後の就業権を元通りにする必要がある。我々は、移民諮問委員会の勧告や、政府が最近発行した、英国を他国よりも遅れることにするであろう国際教育戦略よりも先を行かなければならない。」

 
1ポンド≒145.22円(2019年3月22日)
 
HEPI:Just one cohort of international students who stay in the UK to work pay £3.2 billion in tax – and they aren’t taking jobs from UK citizens

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