【ニュース・イギリス】英国大学の技術移転の実践による国際競争力

2016年8月31日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE)は、ケール大学学長のTrevor McMillan 教授が率いる調査グループによる報告書を発表した。報告では政府、大学、民間部門、その他起業パートナーが技術移転に協力して取り組むことで、知識経済としての英国の力を強化し得るとの提案がなされている。

 

同グループは英国の大学が技術移転に関しては世界的にも高い基準で実施していると結論付けている。英国には世界中から最高のパフォーマンスを示すと認められる大学があり、PraxisUnicoという知識交換や技術移転を後押しするための強力なコミュニティがある。

 

知識交換や技術移転の専門家を育てるための最先端のトレーニングを行うとともに、公共部門、民間企業、政府の間の交流を促進する非営利団体で、173以上のメンバー機関を有する。

 

報告書の勧告:

  • 英国の国家政策の開発においては、大学の技術移転の全体的な戦略の方向性を決定し得る大学上層部を加える必要がある。
  • 国の資金提供者と政策立案者は技術移転が求められる重要課題について成功事例を示すとともに議論の仕方を改善すべきである。英国は他国方針を受け入れるよりも、英国の強みに焦点を当てる必要がある。
  • 英国の研究評価制度において研究のインパクトにより焦点が当たっていることは、大学関係者の起業を後押ししている。大学は研究者や学生が有する多様な才能をより効率的に支援すべきである。
  • PraxisUnicoはより経験の少ない小規模な技術移転ユニットに協力し、米国や他国の民間セクターとの間で関係を立ち上げられるよう支援するべきである。またPraxisUnicoそのものも技術移転政策と異なる技術セクター間での移転の違いを強調し、出資者による支援を受けるべきである。

 

本調査は知識交換構想の一環としてHEFCEの支援により実施された。報告書は、各大学は大学・企業間の関係の中で異なる強みを発揮できるということを強調している。英国の大学の知識交換構想は、各大学が経済成長や社会的繁栄に異なる形での貢献ができるような支援をするべきであり、国の政策は同じものを求めるものであってはいけない。

 

HEFCE:International competitiveness of UK university technology transfer practice

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
人材育成 高技能職業人材の育成
社会との交流、産学官連携 地域連携、産学官連携