【ニュース・イギリス】英国への留学生の流動性について

2018年7月19日、英国大学協会国際部(UUKi:Universities UK International)は、報告書「英国への留学生の流動性についてあまり知られていない5つのこと(Five little-known facts about international student mobility to the UK)」を発表した。

 

この報告書では、英国に来ている留学生について従来あまり注意を集めていなかったこととして、以下のような実態が分析されている:

1. 英国にいる留学生の半分以上は新入生。
英国にいる留学生の半分は大学1年生である。これはつまり、この人数を維持するためには大きなマーケティングの努力が求められるということを意味する。そのため、大学界は地政学的な影響に対して弱い。(例:為替の変動)
2. 大学院にいる留学生の人口はアメリカのものより少ないが、年間受け入れ数は英国の方が多い。
英国は、OECD加盟国の中でアメリカに次いで修士課程学生・博士課程学生の数が二番目に多いが、その数はしばらく変動していない。アメリカは39万1千人の大学院生を受け入れており、これは英国の2倍の数である。しかし、米国では大学院課程の期間が長いため、毎年大学院生となる学生の数はアメリカよりも英国の方が多い。
3. 卒業後に多くの就業機会を提供している国には留学生が多い。
留学生は、労働経験を得る機会も教育の一環として評価する。英国での卒業後の就業の選択肢は、英国が留学生獲得を競っている他の国より明確に示されておらず、制限されている。
4. 英国の大学でポスドク研究をする留学生の需要は不確かである。
ポスドクの留学生は、世界を主導する英国の研究成果を維持する上で助けとなっている。近年、新たにフルタイムのポスドクとなる留学生の数が減少してきており、懸念されている。ポスドクの留学生やその出資者を惹きつけるためには、研究や国際的取り組みへの英国の貢献を伝えることが不可欠である。
5. 英国での学位取得のため学んでいる外国人学生の数は、英国国内より海外の方が多い。
英国の大学は、オンラインによる課程の提供、海外機関との提携や海外キャンパスの設置によって、留学生が学位取得のために学ぶための新たな方法を作り出してきた。これはトランスナショナル教育(TNE:Transnational Education)として知られている。英国の高等教育事業で学ぶ留学生の60%以上が、TNEを通じて英国国外で学んでいる。経済的には輸出収入における影響が小さくなってしまうため、TNEは英国に来る留学生に取って代わることができない。しかし、英国の学位のために海外で学ぶことと、英国で学ぶ留学生になるということの間には明らかな繋がりがある。

 

Universities UK:Five little-known facts about international student mobility to the UK(報告書PDFあり)

地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
国際交流 国際化、学生交流
人材育成 学生の多様性