10月1日、国家統計局(ONS:Office for National Statistics)は教育や人口統計を考慮し、国家、地域、職業、及び雇用期間について英国の人的資本の推計を公表した。
人的資本は個人または集団の技能、知識、経験の蓄積として定義されており、経済において生産的に適用されうる、経済成長の主要な原動力の一つとして幅広く触れられているものである。人的資本は生産性をもたらす重要な役割を果たしている。近年では、英国でも海外でも、国内の労働者の技能や、成長の原動力をよりよく理解するため、人的資本の測定と理解の両方に関心が増してきている。
- 2017年、英国における総人的資本の実質額は20.4兆ポンドで、これは英国の国内総生産(GDP)の10倍をわずかに超えた額に等しい。
- 2017年に英国の人的資本の額は現在の物価にして1.8%増加し、これは2010年以来最低の年間成長率であった一方で、同年の人的資本の実質額は0.8%減少した。これは2012年以来初の人的資本の減少だが、これは消費者物価指数によって測定されているのと同様に、インフレに比べて所得の伸びが低迷したことが原因である。
- 2017年の一人当たり人的資本の実質額の年率成長率は、16―25歳と26―35歳の年齢層グループで最も低く、それぞれマイナス1.1%とマイナス0.9%であった。これらのグループの所得の伸びが低かったことがその原因であった。
- 英国全体での人的資本の変動は、地域や各種グループの間で異なるそれぞれの傾向の上にある。例えば学位取得者や高等資格保有者では、ウエスト・ミッドランド地方に住んでいる者の人的資本の実質額の平均値が最も下がっていて、2017年には568,168ポンドへと5%減少し過去6年間で最大の下落となった。これは所得成長のマイナスを反映している。
- その反対にイースト・ミッドランド地方に住む学位取得者や高等資格保有者の人的資本の実質額の平均値は2017年に564,790ポンドへと9%上昇した。
- 2004年から2017年の間に、16歳から25歳までの学位取得者や高等資格保有者を平均した人的資本の価値は、実質額で8%下がってしまっている。対照的に、16歳から25歳で無資格の者を平均した人的資本の額は同時期で1%の上昇があった。
- 2004年の学士号等の資格取得者への給与優遇率は英国全体と比べて41%であり、これは2017年までに24%へと減少した。
1ポンド≒148円(2018年10月1日)