【ニュース・イギリス】米国の 国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency:DARPA)をモデルにした研究資金提供機関の計画(1)

 
 2019年10月15日、サイエンス・ビジネスは、政府が米国の国防高等研究計画局に似た研究資金提供機関設立を計画していることを発表した。

 
 政府は“新しい試み”として、全地球測位システムやインターネットを含む技術的功績を挙げたDARPAをモデルとした、新興分野の研究や
テクノロジー分野を支援する資金提供機関を立ち上げることを提案している。

 
 10月14日に提出されたBoris Johnson 首相の立法案に盛り込まれた他の研究関連項目には、新しい英国宇宙会議や現在改定中のポイント制の
ビザ制度など世界の優秀な科学者に魅力的な議案も含まれている。優秀な研究者が助成金申請書作成に時間をとられず、可能な限り多くの時間で
新しいアイディアを出すことが出来るように、過度で煩雑な手続きを省略する事も約束した。

 
 現在議会は与党が過半数に達していないため、この提案の実現は不明である。EUサミットまで3日に迫り、Brexitがどうなるかによって政府の
提案は大きな影響を受ける。

 
 この発表に対し、UK リサーチ・イノベーションの創設により、過去2年間資金提供の大幅な変革を目撃してきた英国の科学者達は無言である。

 
 Sheffield Universityのデジタル科学研究政策のProf James Wilsonは“DARPA提案はEU離脱後の英国研究開発向上のためにいくつかある中
のひとつのアイディアであるが、多くの重要な疑問が出てくる。英国の研究制度の構造が大きく変わってまだそのサインのインクも乾いていない
状態である。UKRIが成立し軌道に乗ってわずか18ヶ月目である。”と述べた。

 
 UKRIは英国の研究会議とInnovate UKとResearch England を傘下にする機関として設立し、年間60億ポンド以上の研究資金の分配を監視
する機関である。

 
 今回の中央集権的な構想は物議を醸しており、科学者達はそれぞれの研究会議の役割が縮小することになる可能性を恐れている。

 
 前出のWilson氏は“DARPAのような組織がUKRIの内部か外部かどちらに設置するかは明確ではない。もし外部であれば、統合というUKRIの
成立の大きな原動力は突然消えてしまうのか?”と述べた。

 


<出典> Science|Business: UK government sets out plan for DARPA-like funding agency for research

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