2018年7月12日、英国議会の科学技術委員会は、研究における誤りや疑わしい研究、不正行為などから生じる問題について何が知られており、またその問題が適切に取り扱われることが保証される上で何がなされるべきかについての報告書を公表した。
調査の一環として、委員会は研究不正の調査の実施件数に関する情報を毎年公開しているかどうかを問う書簡を136の大学へ書簡を送付した。
報告書では以下のことが判明している:
- 2012年の研究健全性支援協定での合意事項にもかかわらず、4分の1の大学が研究の健全性に関する年次報告書を提示していない。
- 研究不正の調査件数を報告するデータの透明性にばらつきがあることや、情報の記録方法に一貫性がないことにより、英国での研究不正の規模を算出することが困難である。
- 協定の遵守は、厳密に言えば研究や高等教育関係のカウンシルから資金を受ける上での前提となっているが、遵守していないことで研究機関に対し資金面で何らかの動きが起きているわけではない。
- 大学において協定の勧告事項を実施する上でリーダーシップの調整が取れていなかった。
委員会の勧告事項の要点:
- 100%遵守させるための工程表を備えた、研究の健全性に関するより厳しい協定が設けられるべき。
- 大学での研究不正調査が適切に扱われているかどうかを検証する手段を用意するために、政府として国の研究健全性委員会を設置すべき。研究不正を調査する責任は一次的には雇用者の側にあるが、新しい委員会は、既存の自己規制制度の信頼性を向上させ、研究不正を自己監視する大学に起こりうる利害対立に対する警鐘ともなる。(注:「起こりうる利害対立」は抽象的な表現だが、勧告の原文によれば、この委員会を設けない場合に将来生じうる法規制が念頭に置かれている。また、勧告では、こうしてもたらされうる「高圧的な」規制は不利益になるとの強いコンセンサスが研究コミュニティに存在し、そういった結果を回避する責任がコミュニティにあるとされている(いずれも勧告のパラグラフ122より))
- 新委員会は英国の大学での研究健全性の状態に関する年次報告書を発表するべきである。
UK Parliament:Quarter of universities not reporting on potential malpractice