【ニュース・イギリス】研究者の採用と定着について問題に陥らないために不可欠な、国際的に優秀な人材へのアクセス

 
 2019年10月8日、大学雇用者協会(UCEA)は2019年高等教育労働者レポートを発表した。

 
 英国の高等教育機関における、特に学問分野として医学、STEM、経済、ビジネスの学術分野において採用や定着に関して課題が引き続きあり、
また、特に専門職の場合は、ITや金融などの分野に限定されていることを、このレポートは明らかにした。2019年の報告書で述べられている教員及び
専門職双方における就業と定着の課題は、2017年の報告書の内容とよく似ている。全体として、一般的な教員及び専門職の離職率は、経済全体の同様
の組織の数字よりも低いままである。2017-2018学事年度の専門職員の離職率の中央値は7.6%であり、教員の離職率はわずか5%だった。経済全体の
同様の組織の離職率は12.8%だった。

 
 ただし、「移民入国の規制は現存の高度職の不足を悪化させる」と多くの高等教育機関は懸念しており、EU離脱後に海外からの優秀な人材の確保
も高等教育機関には必要であることがUCEAの分析で強調されている。データは、多くの分野で英国の高等教育機関では、既にEUおよびその他の外国人
スタッフが多くの科目を担当しており、特に学術分野として経済、化学工学、現代言語においては多くが非英国人である。

 
 実習生の雇用における新たなデータと制度的慣習に関する報告書の分析は、高等教育機関が実習1年目で支払った職業実習賦課金*のごく一部しか
控除されなかったとの報告とともに、この分野においてさらにやるべきことがあることを示している。よりプラスな方向としては、新たな業界特定分野
技術見習制度も本格化している。すでに2,500人の実習生が高等教育機関に在籍しており、報告書は高等教育機関の16%が新たな学術見習制度基準を
利用し、さらに19%の高等教育機関が12か月以内にこの基準を採用する可能性が高いことを示している。さらに、高等教育機関の40%は、現在開発中
である高等教育専門見習製度基準を、採用するもしくは前向きに利用を考えているという。

 
*職業実習賦課金:年間人件費が300万ポンドを超える企業等は、毎月の人件費の0.5%相当分を、所得税の申告と同時に歳入関税庁に納入する制度。
 賦課金を支払った企業は、年間15,000ポンドが還付される。徴収された賦課金は基金にプールされ、この基金は職業実習等の補助に用いられる。
 


<出典> UCEA: Access to global talent crucial to keeping academic recruitment and retention challenges at bay
 
<参考> UCEA: Higher Education Workforce Report 2019

地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事
人材育成 研究人材の多様性、教員の養成・確保、高技能職業人材の育成