【ニュース・イギリス】準高等教育機関に対する法令厳格化

2015年2月27日、私立大学などの高等教育財政会議等から公的助成配分を受けていない準高等教育機関について、学生保護と高水準の教育の質を確保するため法令の厳格化に踏み切ると、グレッグ・クラーク大学・科学担当閣外相が発表した。
新しい法令は2015学事年度から施行される。学生の満足度や教育以外も含めたサービスの質が低いと判断された機関について、学生定員数を限定する制限を適用する。この制限は、パートタイム学生や関連機関全てに及ぶ。また、学生の退学率、学位取得・卒業率などより詳細に及ぶ情報提供も義務付けられる。更に、政府が状況に応じて各機関への立ち入り、データ等へのアクセスなどができるよう調整している。
併せて、以下の項目について実施する方向性の是非を問うため、各関係機関等からの意見聴取を行うとしている。

・非英語圏出身学生が準高等教育機関で学ぶための最低限の英語レベルの設定

・機関が、学生にコース選択に有用な情報(学生の満足度や各コースの卒業生の就職状況や授業料その他財政的支援に関すること等)を提供する義務

・長期的に準高等教育機関が実績を挙げられる最も効率的な学生定員制限方法のあり方

【参考】
政府財政調査委員会(Public Accounts Committee)※による、準高等教育機関助成に関する報告書
※政府が財政を正しく運営しているかどうかを調査する国会議員による委員会。国民に対して税金がどのように使われているのか、透明性を持って説明する義務を果たすことを目的とする。

同年2月24日、政府財政調査委員会は、準高等教育機関助成に関する問題点と改善策をまとめた報告書を発表した。準高等教育機関は、直接にはHEFCEなどからの公的助成を受けることができないが、各機関に所属する学生が公的学生ローンに申請することが可能であるため、間接的に公的助成を受けているのが現状である。
委員長のMargaret Hodge氏は、以下のように述べている。
「準高等教育機関に関する法令整備が非常に未熟なまま、BISはより多くの機関を、という施策を推し進めた。その結果、2010年度から2013年度にかけて、同機関数が増大し、学生ローンに申請をした所属学生の数も、7,000人から5万3,000人へと膨れ上がった。これは金額にして、£5,000万から£6億7,500万への増額である。法令整備の未熟さにより、学生の質も遺憾ながら問題があり、課程を修了しなかった学生、学校に行かなくなってしまった学生、そもそも英語力が未熟すぎる英国以外からの学生などにローン受理を許可している事例がある。さらには教育そのものの質が乏しすぎるという機関側の問題もある。これらにいかほどの貴重な国民の税金が費やされたのかを正確に知ることが不可能なこの状況は由々しき事態であり、一刻も早く対策を講じることを求める。」
報告書では以下のことを政府に要求している。

・準高等教育機関の公的助成へのアクセス厳格化―リスク管理を厳格にし、基準を満たさない場合はしかるべき措置をとるようにする。

・ビジネス・イノベーション・技能省(BIS)はどのぐらいの額の公的助成が無駄になってしまう危険性があるか、緊急に査定し、当委員会に報告する。

・現在、準高等教育機関の機関ごとの質の落差が激しいため、BISは、一刻も早く教育の質を確保し、学生保護をはかる。

・BISは、本件に関して、具体的かつ検証可能な目標を定め、かつ、EU圏からの学生誘致にマイナスの影響が出ないよう留意しながら、正確な数値収集・分析につとめる。

URL1: https://www.gov.uk/government/news/further-measures-to-drive-quality-at-alternative-providers-of-higher-education
URL2: http://www.parliament.uk/business/committees/committees-a-z/commons-select/public-accounts-committee/news/report-financial-support-for-students-at-alternative-higher-education-providers/

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
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