【ニュース・イギリス】新卒者の雇用市場の縮小

2016年9月2日、BBCは大学新卒者の雇用率が、過去4年は伸びを示していたが、この1年で8%減少したと報じた。企業によって卒業生を高等職業研修生(Apprenticeship:労働者を一定期間試用する制度)として整理し直したところもあったが、総合的に見ると若者の雇用市場は縮小している。

 

この調査はAssociation for Graduate Recruiters (AGR) が、毎年同協会メンバーである優秀企業及び主な公営企業の雇用者を対象に、その新卒者の就職状況を調査するもので、今年は208社から回答があった。

 

今年の求人は19,732件(2015年は21,427件)、最も減少したのは建設業、小売業と工学系で次のとおり。

  • 工学系 1,820件(前年2,106件から14%減)
  • 小売業 1,666件(前年1,975件から16%減)
  • 建設業 1,121件(前年1,266件から11%減)

今年これらの企業は10,000件以上の職業研修生のポジションを提供した。これは2015年に比べて13%の伸びではあるが、新卒募集の減少を考慮すると低い割合である。新卒枠と職業研修ポストを合わせても3%減少している。

 

AGRの理事長であるStephen Isherwood 氏は、“若者の雇用市場はリーマンショック以来初めて減少した。雇用者は職業研修生や高等教育に進まずに就職する人たちを雇用するように切り替えている。EU離脱という不安材料が今後雇用者にとって最大の課題になる。また、300万人の職業研修生を助成するための£30億を捻出するために職業研修課税として2017年4月から企業側に0.5%課税されることも雇用者にとっては大きな問題となる。”と述べた。

 

教育省(DfE: Department for Education)の報道担当者は“大学卒業生は高い就職率を示しており、大卒でない者より平均年収が£9,500多い。現在行われている教育改革は大学が卒業生の質を上げることに焦点を置いている。質のいい教育をすることで学生や雇用者が必要とする技術を身につけられるようになる。”と述べた。

 

BBC:Jobs market shrinks for new graduates, survey suggests

地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職