【ニュース・イギリス】新・大学研究評価制度「Research Excellence Framework(REF)」2014結果発表

【概要】
2014年12月18日、大学研究評価制度「Research Excellence Framework(REF)」の結果が発表された。大学に対する研究評価制度が刷新されてからの第一回目となる結果発表であり、この結果が直接、政府からの高等教育助成金(研究助成金)配分額に反映されるため、高等教育関係機関にとって大いに注目するところであった。「研究成果(65%)」、「社会に対するインパクト(20%)」、「研究環境(15%)」について各割合で総合評価を算出している。
全体の数字としては、

・154大学がその研究計画(群)を評価された。
・1,911件の計画申請数を記録、これには、5万2,061人のアカデミックスタッフが関与しており、19万1,150件の研究成果及び社会に対するインパクト事例研究として6,975件が寄せられた。全体の申請に対する総合評価のしめる割合内訳は、以下の通り(最高評価が4*で、以下1*まで4段階評定)。
・4*「世界を先導する質の高さ」―30%
・3*「国際的に優れた質の高さ(であるが先導すると評価するには足りない)」―46%
・2*「国際的に認められる質の高さ」―20%
・1*「国内的に認められる質の高さ」―3%

2008年実施のResearch Assessment Exercise とは査定法が改訂されたため単純比較はできないものの、こと研究成果に関する指標を取り出して比較してみると、2008年には14%であった4*の割合が22%、37%であった3*の割合が50%以上と大幅な改善がみられ、研究において英国が世界を先導する地位に位置づけられていることを再認識させられる結果となった。

【各大学の比較】
各大学の評価結果を比較すると、ラッセルグループなどをはじめとする旧大学群が圧倒的に高評価を得ており、期待されていた新大学(1992年以降に大学に昇格した大学)群の躍進をみるには及ばなかった。また、大方の予想通り、The Institute of Cancer Research (がん研究所兼大学)やLondon School of Hygiene and Tropical Medicine(ロンドン大学衛生熱帯医学大学院)など医学系が高評価を得る結果となった。

(参考)評価平均値による上位20機関

2014 順位 2008 順位 機関名 申請評価ユニット数 評価を受けた関連研究者数 各機関の全体申請数における、それぞれの評価が占める割合(%) 評価平均値
4* 3* 2* 1* 評価なし(※)
1 1 Institute of Cancer Research 2 103 50 42 8 0 1 3.4
2 6 Imperial College London 14 1,257 46 44 9 1 0 3.36
3 =4 London School of Economics and Political Science 14 532 50 37 11 1 1 3.35
4 =4 University of Oxford 31 2,409 48 39 11 1 0 3.34
5 2 University of Cambridge 32 2,088 47 40 12 1 0 3.33
6 =22 Cardiff University 27 738 40 47 11 1 0 3.27
7 =22 King’s College London 27 1,369 40 45 13 2 0 3.23
=8 7 University College London 36 2,566 43 39 15 2 1 3.22
=8 9 University of Warwick 23 931 37 50 12 1 0 3.22
10 3 London School of Hygiene and Tropical Medicine, University of London 2 314 42 37 20 1 0 3.2
=11 12 University of Edinburgh 31 1,753 38 45 15 2 0 3.18
=11 =14 University of Bristol 31 1,138 36 47 15 1 0 3.18
=11 13 Queen Mary University of London 21 671 34 52 13 1 0 3.18
=14 =14 University of Sheffield 35 1,043 33 52 13 1 0 3.17
=14 10 University of York 24 643 35 48 15 1 0 3.17
=14 =20 University of Bath 13 462 32 55 11 1 0 3.17
17 8 University of Manchester 35 1,561 35 47 16 1 0 3.16
=18 =14 University of Southampton 26 1,113 33 51 14 1 0 3.15
=18 =20 Lancaster University 16 580 35 48 15 2 0 3.15
20 =14 Durham University 23 740 33 50 15 1 0 3.14

※「評価なし」とされた研究については、件数表示で、全体の割合(%)には含まれない。

(Times Higher Education ‘REF 2014 results: table of excellence’より。閲覧制限があるため、記事URLは不掲載。)

【評価分野】
評価分野は、4つのメインパネル(A:医学・生命科学、B:物理科学、C:社会科学、D:芸術・人文科学)に分けられているが、80%以上の物理科学・医学・生命科学の研究が4*もしくは3*の評価を得た。これは、芸術・人文科学の71%、社会科学の69%と比べても高く、理系優位の結果となった。物理科学は、全4メインパネル中、4*の評価の割合が一番低い(26%)ものの、3*の割合は57%と最も高い割合を記録している。このため、3*と4*を併せた数字は83%となり、これは、医学・生命科学の双方の数字を併せた81%を超える。
一方、芸術・人文科学は、4*の割合の高さとしては医学・生命科学に次いで2位の30%となっているが、3*の割合は全分野の中で最も低く41%にとどまっている。

URL1: http://www.ref.ac.uk/
URL2: http://www.hefce.ac.uk/news/newsarchive/2014/news99318.html

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 研究