【ニュース・イギリス】新しい就労ビザ制度の提案と出国チェック

2018年9月4日、英国大学協会(UUK:Universities UK)はその年次総会で、留学生が大学卒業後2年間にわたって英国での就業経験を得ることを可能にするビザ制度の新設を呼び掛けた。

 

英国政府は2012年に、EU圏外からの留学生が大学卒業後2年まで英国に滞在し労働することができた卒業後就労ビザを廃止した。UUKによれば、この卒業後の英国での就労の機会のための資格ルールの厳格化は、インドを含む特定の国からの有望な出願者に重大な衝撃を与えた可能性がある。

 

UUKが提案する新しいビザ制度は、高いコストや官僚的手続きが原因で通常Tier2(就労ビザ)の身元引受人ライセンス(Sponsorship license)を持たない中小の雇用者を含めた英国全土の幅広い雇用者が、世界中からの能力ある卒業生を雇用することで利益を得ることができるものとされている。また、新しいビザ制度は、英国を留学生や海外の卒業生にとってより魅力的な行き先とし、アメリカ、オーストラリア、カナダといった、より受け入れに積極的な学生ビザ政策を持つ国との競争を可能にするとされている。

 

UUKは、2011年以来、オーストラリア、カナダ、アメリカのような国で学びたいという国際的な需要が急上昇している一方で、英国における留学生の入学者数は横ばいが続き、これは市場でのシェア喪失に繋がっているとしている。

 

Universities UK:New visa for international students would benefit UK

 

【メディアや各機関の反応】

 

○BBC News
BBCは大学は留学生に関する入国制限について再考するよう内務省に呼び掛けており、こうした入国制限は、ビザの期限を超えて滞在したり、また労働目的での入国ルートとして学業を利用したりする者が多すぎるという声が上がってから導入されたものであるとして報じた。
また、BBCの報道では、この年次総会に列席していたSam Gyimah大学担当大臣も、「海外からの留学生に卒業後の仕事の提供を拡大すること」に関する「斬新な意見」を歓迎すると発言したとされている。

 

BBC News:Universities minister backs overseas student change[2018年9月5日付]

 

○内務省(Home Office)
これらの動きに関連することとして、内務省(Home Office)は出国時調査データ統計を発表した。統計では、2017年から2018年にかけてビザが失効する者のうち適切に出国した者の割合が明らかになっている。対象者全体の97%が期限内に出国をしており、学生ビザ所有者の場合はこの割合は97.6%であった。

 

(内務省の統計)
GOV.UK:Third report on statistics being collected under the exit checks programme[2018年8月23日付]

 

○ラッセルグループ(Russell Group)
ラッセルグループ*は上記の内務省による出国時調査データ統計の結果を歓迎する趣旨のコメントを発表している。

*ラッセルグループは、英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。

 

Russell Group:Home Office data on exit checks[2018年8月23日付]

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