【ニュース・イギリス】教育大臣が大学の退学率に警告

 
2019年3月7日、教育省(Department for Education:DfE)の大臣であるDamian Hinds氏は、高等教育統計局(Higher Education Statistics Agency:HESA)が発表した最新の大学の退学率データに関して、「ひどい」退学率を減らすためにより努力せねばならず、そうでなければ、高等教育への進学の改善についてなされてきた進捗を害する危険があると述べた。
 
発表された最新の数値は、大学別の退学率を示しており、学業を継続しない割合が最悪である各大学を特定している。大臣は、退学しやすい、恵まれない環境の出身者や、あまり代表者を出していない集団の出身者のために、特に大学側に、入学だけでなく参加も成功するよう焦点を当てるよう要求した。
 
教育大臣は、中退率の最も高い各大学に対して、各大学の数値は、学生が課程を全うするために学んでいる期間に全面的な支援を提供しているというよりも、大学は「席でだらだらしてもらう」ことにしか興味がないという印象を与えるものであると伝えてきた。
 
同日付けでHESAの発表した新しい統計は、2016/2017学事年度に恵まれない環境出身の学生は、より恵まれた環境出身の学生(初年度の中退率6.0%)に比べて初年度で中退しやすい(21歳未満の初年度学生で8.8%)ということを示している。この値は前年から比べてわずかに大きくなったが、大まかに言えばここ数年は安定している。
 
大学生活のはじまりは、誰かにとってわくわくするものと困難なものの両方でありうるもので、同日公表された値は、大学に行くということで生じうる課題について大学が学生を支援することを助ける新たな特別調査委員会について大臣が発表している中で出てきたものである。この特別調査委員会は、4つの主要分野で、学生が課題に対処することを助けるための方法を見てゆく。その主要分野には、財政管理、独立した学習への習熟、そして新しい同級生の大集団の中で慣れること、といった学生生活の側面が含まれている。
 
教育大臣は、この日に発表された(統計)データと新たな特別調査委員会の仕事を見て、学生への支援を確実にするよう大学に対し喚起している。
 
幅広い不可避な状況が学生の退学につながりうると認識しつつも、Hinds大臣は、測定された“期待される業績”よりも程度の低い大学を懸念している。“期待される業績”は、高等教育機関が学生の経歴に与えてしまうであろう退学の状況を予測する指標である。
 
また、HESAによって同日発表された他の図表では、イングランドの高等教育機関におけるフルタイムの一年次入学生の7.6%が翌年にはもはや在籍しておらず、また入学時点で21歳未満だった学生の6.3%は翌年度に退学している。
 
(統計)データは、英国の高等教育機関で学ぶ一年次入学生の間で最も高い中退率が出ている学科も明らかにした。中退率の上位5位までの学科は以下のとおり。

・コンピュータサイエンス 9.8%
・ビジネス・管理学 7.4%
・工学・技術 7.2%
・マスコミ・ドキュメンテーション 7.2%
・クリエイティブアーツ・デザイン 7.2%

 
対照的に、英国の高等教育機関への若年入学者の間で、医学科、歯学科、獣医学科の学生の退学率は最も低く、1.5%だった。
 
政府の組織再編は、2018年に高等教育機関の新しい監視機関である学生局(Office for Students:OfS)を創設し、学生の最善の利益のために活動する権限を与えた。OfSは、必要があれば行使できる幅広い介入・制裁の権限を与えられており、それには罰金、OfSの登録一時停止、そして登録抹消までもが含まれうる。
 
GOV.UK:Education Secretary warns universities over dropout rates

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