【ニュース・イギリス】大学担当大臣、大学比較のためのデジタルツール開発を公開募集

 
2018年6月26日、教育省(DfE:Department for Education)は、Sam Gyimah大学担当大臣が、学生が自分に最適な大学や課程を選ぶために役立つ新しいデジタルツールを開発するため、技術系の企業やプログラマーに対し12万5,000ポンドのコンペの公募を発表した。
 
このツールは、修得した学位から得られる収入や就職実績に関する情報のアクセスを全ての学生に可能にすることで、志願者の間で「均等機会」を与えるものである。公共料金から病院に至るまで、技術によって指先一つでより多くの情報が得られる時代であるため(:英国では公共料金の一部は提供事業者を選択可能)、政府はこのツールが高等教育の透明性にも同様の改革をもたらすものと考えている。
 
これは、より幅広い高等教育情報の透明性改革の一環であり、政府は既に、予想収入や雇用可能性、そして教育評価(TEF:Teaching Excellence and Student Outcomes Framework)*として知られている大学での教育の質などに関する幅広い範囲のデータを公表している。同大臣は、どこで学ぶかの選択の役に立つこういった情報の利用が、若者にとってより簡単になってもらいたいと考えている。
 
GOV.UK:Universities Minister launches open data competition
 

これらの動向に対して、ガーディアン紙は、大臣は学位の価値が将来の収入として矮小化されるかのようなことを言っているが、大学は価格・サービス比較ウェブサイトで調べられるような商品ではない、過去の卒業生の平均年収を提示したところで将来に対しては何の保証にもならない、大学教育の真の価値である驚嘆、啓蒙、文化といった部分はウェブサイトのチェックボタンをクリックすることで測れるようなものではないなどとして、大臣の考えは無謀な市場主義だと批判する記事を掲載した。
 
The Guardian:A university education is not a product to be checked on gocompare.com
 
イングランド政府により任意参加で実施されている事業だが、イングランド以外の英国の大学も参加が可能。公的助成を受けているイングランドの大学がTEFを受けた場合、授業料の値上げが可能な仕組みとなっている。
 
1ポンド≒146円(2018年6月26日)
 
*教育評価:大学等各高等教育機関の教育の実績を明確に示すため、2015年に導入が決定された評価制度。各機関における「教育の質」、「学習環境」、「学習の成果」に基づき、「金」、「銀」、「銅」の3種類の評価が与えられる。一度得た評価は最大3年間有効。

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育、質の保証
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