【ニュース・イギリス】大学学長等が合意なきEU離脱に対し警告

 
2019年1月4日、英国大学協会(UUK:Universities UK)は、英国が離脱協定を結べないままEUを離脱するに至った場合(注:いわゆる「合意なき離脱」)の、研究、教職員、学生にとってのリスクについて警告する大学学長らの書簡を政府や政治家に送付したと発表した。
 
この国家議員に対する公開書簡で、UUK、ラッセルグループ*、Guild HE**、MillonPlus***、University Alliance****が、英国全体の150以上の高等教育機関を一団として代表し、合意なき離脱をした場合の影響は“回復に数十年かかるような、学術的、文化的、科学的な後退につながる”旨を述べた。
 

書簡の内容:
我々の5万人のEU出身の教職員、13万人のEU出身の学生、また言うまでもなく1万5千人のヨーロッパで学ぶ英国の学生は、将来についての重大な不安に直面しつつ新年を迎えることになりました。
新しいがん治療から気候変動に対処する技術に至るまで、重要な研究協力関係が危機にさらされます。学生、教職員、知識に関する、価値ある交流は深刻な被害を受けるでしょう。そして我々は、サプライチェーンから安全保障や旅行にまで至る合意なき離脱の影響について、ビジネス上の懸念をお伝えするものです。

 
また、この書簡の中で大学学長らは、政府は“求められている事項を実際に示し、正しい手段と保証を打ち出し、そして、重要なこととして3月29日に合意なきEU離脱により英国がEUから脱落することを避ける”必要があると述べている。緊急を要する事柄として、学長らは、英国が3月末で除外されることになりかねない研究資金の代わりが保証されることを必要としている。
 
UUKによれば、欧州研究評議会(ERC)およびマリー・スクウォドフスカ – キュリー・アクション(MSCA)の制度は英国にとって今後2年間で推定13億ユーロの価値があり、新たながん治療や気候変動への対処を含む重要な科学的発見にも投資している。現在、英国はドイツを上回りERCの事業受託に最も成功している国であるが、合意なき離脱の場合は即座にその資格を失うことになる。
 
* ラッセルグループ:英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。
** Guild HE:大学、カレッジ、継続教育カレッジ、専門職の教育機関などからなる、英国高等教育界の代表組織。
*** Million+ Group:旧ポリテクニクとして1992年に大学の地位を認められた高等教育機関を中心とする21の大学で構成される団体。
**** University Alliance:主にビジネス領域を専門とする16の大学で構成される団体。
 
UUK:University leaders warn against No Deal as vital research comes under threat

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