【ニュース・イギリス】新しい政府最高科学顧問の任命

 
2023年2月20日、政府科学庁(Government Office for Science)は新しい政府最高科学顧問にDame Angela McLean教授が任命されたことを伝えた。内閣官房は、Dame Angela Mclean DBE FRS教授を政府最高科学顧問(Government Chief Science Advisor: GCSA)に任命したこと発表した。McLean教授は現在、国防省で最高科学顧問を務めており、公募によって英国首相が選出を行った。McLean教授は女性として初の政府最高科学顧問となり、4月1日から着任する予定である。

 
GCSAの役割は、英国首相や閣僚たちに独立した科学的なアドバイスを行い、政府の科学、テクノロジーにおける政策的要素の助言、科学的な証拠に基づく政府への助言の質と保証を担保し改善することである。また、GCSAは科学・工学専門職長(Head of Science and Engineering Profession: HoSEP)でもあり、新たに設立した科学・イノベーション、技術省(Department for Science, Innovation and Technology: DIST)の組織運営チームの一部でもある。

 
英国首相であるRishi Sunak氏はこの人事を歓迎してコメントした。:

 
「公共サービスの向上を提供し、新しい雇用を創出し、最先端産業を通した我々の経済の成長は、科学、テクノロジー、イノベーションの促進によってのみ実現可能となる。Dame Angela氏を歓迎し、またSir Patrick(現職者)氏が行ってきたCovid-19の流行から気候変動まで大規模な課題を解決するための助言など、これまでの過去5年間の実績で構築され、今後も様々なことを実現していくその役割を承諾してくれたことをうれしく思う。」

 
DISTの大臣であるMichelle Donelan氏のコメント:

 
英国はまさに科学的革新の未来における大変心が躍るような新しい幕開けを始めようとしている。Dame Angela氏は、科学界全体から尊敬を受けており、この任命により多くの女性や若い女子にとってSTEMの科目が素晴らしいキャリアの選択肢となることを望む。
英国が科学やテクノロジー革命の最前線で活躍を続けるように、Sir Patrick Vallance氏の築き上げた功績の上でDame Angela氏と一緒に仕事をしていくことを楽しみにしている。

 
Dame Angela氏本人のコメント:

 
科学・イノベーション、テクノロジーが我々の国にとって重要な時に、このような職務に任命されたことを喜ばしく思う。政府関係者は皆Sir Patrick氏の辞任を残念に思うであろうが、同氏がGCSAで築き上げた実績を基に同僚とともに仕事をすることを楽しみにしている。私自身の長年の恩師である故Lord Robert May卿は、1995年から2000年までGCSAの座のおり、そのような個人的なつながりは、この役職を承諾した自身の名誉でもあり、特に深く感じるものである。

 
Dame Angela McLean教授の略歴:

 
2019年9月から国防省の最高科学顧問。University of Oxford動物学部の数理生物学教授であり、All Souls Collegeの評議員である。研究対象は、感染物質の進化と拡散の理解補助をするための数理モデルの使用である。また、その他にも公共政策の策定における自然科学の証拠の使用にも興味があり、Oxford Martin School Restatementsの共同開発を行った。これは、政策課題や論争の問題の元となる証拠を再構築し、技術的に詳しくない聴衆のため、端的に、無料で、わかり易い方法で説明する活動である。

 
Covid-19の流行の際には、緊急時科学諮問グループ(Scientific Advisory Group for Emergencies: SAGE)に定期的に出席をし、SAGEのサブグループであるSPI-M-Oの共同議長を務め、伝染病学、データ分析、数字的モデリングを使用して政府への助言を準備した。Covid-19の流行の管理に関する政府への科学的な助言を生み出す上で重要な役割を果した。

 
1994年にバイオテクノロジー・生物科学研究会議の家畜衛生研究所で数理生物学を設立した。それ以前にはUniversity of Oxfordの王立協会の研究員、またフランスのパリでInstitut Pasteurの研究員をしていた。国防長の最高科学顧問(Chief Scientific Adviser: CSA)として、本人は科学とテクノロジーの第一顧問で、国防省の中心的な科学・テクノロジー研究ポートフォリオを通した研究を指導する責任も担っている。2009年、王立協会の会員に選出された。2011年にGabor Medal、2018年にWeldon Memorial Prizeを受賞している。2018年の英国女王誕生日名誉リストで男性の爵位(Sirとなる)と同等で女性の称号であるDameを授与さえた。

 


政府科学庁(Government Office for Science): New Government Chief Scientific Adviser Appointed


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 組織・ガバナンス・人事
大学・研究機関の基本的役割 研究