【ニュース・イギリス】英国はEU離脱問題が解決しない場合、EUの886億ポンドの科学計画を無視する用意がある

 
2023年2月12日、Evening Standard紙は新しくできた科学、イノベーション、技術(Department for Science, Innovation and Technology: DSIT)省の大臣が、もしEUが英国とのEU離脱後の加盟条件に同意しない場合、英国は「単独で行く用意がある」ことを示唆したと伝えた。

 
DSITの新大臣であるMichelle Donelan氏は、EUの約1,000億ユーロ(886億ポンド)の最も重要な研究計画を鼻であしらい、米国、日本、スイスとの同盟を作る準備があると述べた。Donelan氏は、Telegraph紙へ寄稿し、科学界は英国がEUのプログラムであるホライズン・ヨーロッパの参加に関して早く知りたいと思っていることを認めたうえで、もし参加が実現されないのであれば、「単独で行くことに問題はない」と述べた。

 
政府の科学、研究、イノベーション担当大臣であるGeorge Freeman氏は過去に、欧州委員会が英国参加の討議をする会合を持つことを拒否していることを非難し、北アイルランド議定書に関する論議の理由により、欧州委員会は英国の要望を拒否している、と述べたことがあった。その後8か月が過ぎ、まったく進歩がない中、Donelan氏は「我々の研究者が無視されている状態を黙って見過ごしているわけにはいかない。」と述べた。「もし我々が参加できないのであれば、米国、スイス、日本などの科学大国と協力し、我々独自に世界に向けた代替案として、単独でやっていくつもりである。」とTelegraph紙に書かれている。「待っている時間はすぐに終了し、英国が単独でやっていくことに躊躇することはない。」英国と北アイルランド間の貿易協定の複雑な業務を削減する協定が結ばれるのではないかという憶測がある中で、この発言があった。

 
2月10日に英国政府とEUは、EU離脱後の協定の暗礁から脱出するため、2019年に同意された北アイルランドの議定書の相違に関する「共同解決」を模索する取り組みを改めて約束した。Donelan氏はの「独り立ちする」という発表は、その週初めに英国首相が行った内閣改造によって創設された新しい科学省から発表された政策である。多くの英国の科学者にとって、長年要求を続けていた科学省設立であり、政府の中心が科学に位置づけられたとして新省庁を歓迎している。

 
しかし、英国王立協会(Royal Society)のAdrian Smith 卿は、Donelan氏の最初の仕事とするニュースに対して、Donelan氏の最初の仕事は「ホライズン・ヨーロッパやその他のEUの科学プログラムの参加を確保することでなければならない。」と述べた。「これらのプログラムは優れた国際的な共同研究を支援しており、そのようなプログラムの参加がなければ、世界の科学や技術の最前線にあるべきという英国首相が述べた野心を台無しにすることになる。」と述べた。

 


Evening Standard 紙: UK prepared to snub EU’s £88.6bn science scheme if Brexit row cannot be resolved


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