【ニュース・イギリス】英国高等教育研究とイノベーションの事実と数字

 
2023年2月2日、英国大学協会(Universities and UK)は新しい報告書で、大学の研究とイノベーションが政府の野心を実現する上で中心的な存在となることを強調した。また、国の新しい年の目標を掲げ、首相および野党の党首は、英国が直面する課題に取り組むための研究とイノベーションの重要な役割を設定した。

 
UUKの新しい報告書である「Higher Education Research and Innovation in Facts and Figures: 高等教育研究とイノベーション、その事実と数字」は、大学の研究とイノベーション活動が、投資や人材を集め、世界をリードする発見、知の創出、英国全体で新しく革新的な企業や雇用を作り育てていくことで、政府の野心の実現に貢献できること述べている。現在、経済的に大きな痛手を受けているが、研究とイノベーションはこれまで以上に必要性が高まってきている。

 
報告書の内容:

 

  • 英国の大学は、世界でもトップクラスの研究を行っている。英国の研究はその高い期待を常に上回っていると評価されている。出版物の学術的なインパクトを測る相対被引用インパクト(Field-Weighed Citation Impact: FWCI)によると、英国はG7諸国の中で第1位、OECDやEUの総数よりも上位にランキングしている。
  • 英国内で研究やイノベーションはまんべんなく分散されており、政府の提唱するレベリングアップ課題に対して重要な役割を果たしている。高質な研究は英国全体で行われており、最近の評価では、英国内や地域から出た研究の80%以上が、「世界のトップクラス」もしくは「優秀」と評価されている。英国各地の大学は新興事業や大中小企業との提携を通してイノベーションを支援している。
  • 研究やイノベーションへの投資は高い投資利益率をもたらし、経済的な利益を生みだす。研究やイノベーションのエコシステムへの投資は、公共投資への投資対効果が証明され、研究開発支出1ポンド当たり1.96ポンドから2.34ポンドの民間支出が刺激されている。
  • 大学は研究を新興事業に変える。2020/2021年度において、英国の大学から生まれたスピンアウト、スタートアップ、社会的企業は19,000件であった。同時期に大学から生まれた企業は推定96,000人を雇用している。
  • 大学は、その大学の研究を企業、非営利団体、公共部門が利用できるようライセンスを認可している。2020/21年度では、大学は企業や非営利組織に対して4万件のライセンス認可をしている。
  • 大学の研究は、企業や他の組織の問題解決に役立っている。Covid-19の流行にもかかわらず、大学は、過去5年間に委託研究およびコンサルタントを通じて、企業や非営利のパートナーと60万件近く交流している。
  • 大学は英国の起業家たちの教育と発展を行っている。10大学中9大学は学位プログラムに起業についての内容を設けており、大部分(98%)は起業や起業家精神のため課外活動を提供している。

 
UUKの最高責任者であるVivienne Stem氏のコメント:

 
英国の高等教育機関の研究とイノベーションにおける大変優れた能力は、まさに国の財産であり、世界でも有名なことである。これは、英国全土にある様々な分野の大規模な大学から小規模大学や特別な分野の研究所まで、様々な規模で行われている。英国は、その強さと深さを誇りに思うことができる。研究は、人々の生活に実際に違いをもたらす。健康に関する発見は、しばしばニュースで大きく伝えられるが、研究は新しい技術、雇用、経済成長、我々の住む世界のより良い理解など、それ以上のものを生み出している。
 


英国大学協会(Universities and UK):
Research and innovation facts and figures: 2022
Higher education research and innovation in facts and figures


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
社会との交流、産学官連携 産学官連携