【ニュース・イギリス】英国は留学生数の「拡大と成長」をもっと求める

 
2022年12月7日、Pie newsによると、英国での修士及び博士課程の学生が扶養家族を同伴することは、英国の大学が幅広く各国から学生を誘致し、他の留学先国との競争のため必要であると英国政府が強調していることを伝えた。

 
ウエストミンスターで行われた教育委員会で、教育省の職員は、英国大学の留学生に提供される英国ビザのいかなる変更も、「世界中の優秀な学生」を誘致することに支障がある可能性を警告した。予定より10年も早く60万人の留学生数に達した後、教育省は大学と協力し、「どのように留学生数をさらに拡大し成長させるかに焦点を当てている。」と教育大臣であるGillian Keegan 氏は述べた。

 
また、留学生を誘致する対象国を拡大することも優先課題であると述べた。「我々は移民問題を甘く見ておらず、明らかに大変大きな問題を抱えており、英国の沿岸に到着する移民を載せている小さいボートは我々と有権者に関連しているものでもある。しかし、ここでは学位号の取得のために渡英している人たちとは別物と考えなければならない。」とKeegan 氏は委員会で述べた。

 
政府は、6月までの1年間で504,000人に達した移民数を減少させるため、国内の一部に対し圧力をかけている。英国首相の担当報道官は、記者たちに対して、英国政府は「学生の扶養家族と低レベルの学位の問題に注目している。」と言っている。いくつかの報道によると、留学生数の制限は内務省からではなく、政府からきているというものもある。

 
教育委員会の議長であるRobin Walker 氏は、有権者が「長年にわたり管理されていない移民問題、英国の沿岸に到着する移民を載せた小さいボートに対して懸念を提起しているが、博士課程の学生に関してはそのようなことはない。」と指摘していることを強調した。

 
留学生に関するAPPGの共同議長であるPaul Blomfield議員は「純移民数の議論では誰も留学生に対して懸念を示していない。」と以前述べたことがある。委員会のメンバーでもあり北イングランドのDon Valleyから選出されているNick Fletcher 議員は、ラッセルグループの大学と非ラッセルグループの大学の質の違いに関して大臣に対して問いただした。「報道からの憶測は、一部の人々の考えを暗示しているようで、非ラッセルグループの大学での学びは劣っており、留学生を誘致する価値がないと言っているようである。」と述べた。「これは特に北東部の大学にとって非常に問題となることであり、実際にそれらの大学は優秀な教育機関であり、質の高い学位を取得した優秀な学生が卒業している。」「教育省やその他のこのテーブルにいる官僚の考えではないことを教育大臣が記録してもらうことを願う。」と述べた。Keegan 氏は「喜んで記録したい。」といいながらも、質に関しては保証する必要があることを付け加えた。

 
Times Higher Education誌の分析によると、イングランドの大学の3分の2が、学生局が10月3日に導入した成果基準のすべての科目において基準を満たしていないことがわかった。「大学に進学することは大きな投資でもあり、そのためにも質を確保する必要がある。これはすべての学生のためでもあり、全学生に高質なコースを提供し、ビジネスや雇用者の期待に応えていくということ継続的に確認することでもある。」とKeegan 氏は述べた。

 
Fletcher議員は教育大臣に対して、新たな「社会の負担」といわれている修士課程の学生が扶養家族を同伴することに対し、教育省に検討を要望した。「まず第一に、留学生の大半は大学院生ではなく学部生である。単に扶養家族を同伴できるという例外はあるが、英国滞在中も、学生は家族を養うための資金が必要である。つまり、そのような条件付きである。」と大臣は答えた。

 
高等教育統計局(Higher Education Statistics Agency: HESA)の2020/21学事年度の数字によると、英国の留学生数は605,130人で、そのうち大学院生は290,295人であった。「移民に関しては内務省の管轄であり、我々は常に内務省と協力し、制度を正しく運営していくように努力している。」とKeegan 氏は続けた。「しかし、605,000人という留学生数を考えると、扶養家族を同伴する学生は大変少ない人数ではないかと思える。」2022年9月から1年間の間でスポンサー就学ビザが発行された数は、476,389件で、すべてのスポンサー就学系のビザの5分の1(20%)が学生の扶養家族に対し発行されたものであった。扶養家族として116,321件が発行されたが、2019年の6%(16,047人)から増加したことになる。

 
英国がより広く世界の国々から多くの留学生を誘致するための一つの方法は、ビザの制度であると、教育省の事務次官であるSusan Acland-Hood氏が強調した。「修士および博士課程の学生は、扶養家族を同伴する場合、就学中に家族を養えるという証明が必要で、また、NHSの追加料金の対象となる。」と釘を刺した。「また、そのような留学生は留学期間終了後には帰国をしていることも分かった。」と述べた。

 
2017年の前回の出国調査では97%の留学生は就学が終了したら英国から出ており、2016年の内務省委託の分析では、ビザの有効期間が過ぎても滞在している者は1%であった。ビザ期間を超えた最近のデータは広く公開していない。英国は、卒業ルートを導入し、留学生が卒業後も学部生は2年間、修士・博士課程の学生は最大で3年間国内に留まることのできるビザを導入した。

 
2021年第3四半期から2022年第3四半期の間に83,486件の卒業ルートのビザが発行された。「これは我々の留学生に対するビザの提供であり、同じようなことを他の競争国でも行っているため、慎重に検討しバランスを取っていかなければならない。」とAcland-Hood氏は語った。「もしこれを変更するのであれば、世界中から優秀な学生を誘致することが弱体化することを肝に銘じておかないといけない。」「扶養家族を同伴する能力がなくても、学生が最も準備ができている国は中国である。つまり、扶養家族を同伴するということは、世界からの優秀な留学生を誘致することであり、高等教育機関が1つの国に依存しないことにも役立つ。」大臣は留学生の医療実習に関しても質問を受けた。

 
今週の始めにTimes紙は、国内学生への資金不足のため、Worcester、Brunel、Chester大学の新しい医療コースが留学生の受け入れを対象にすると報じた。Meon Valleyから選出されたFlick Drummond議員は、それらのコースに英国内の学生も入学できる計画はあるのかと尋ねた。「我々は医学部に対して投資をしており、より多くの医療系学部にも投資している。医療系学部に関する問題があることは承知している。」「そのことについて具体的にすると、100%留学生という医学部はないはずである。誇張のようにも聞こえるが、学校を始める場合まず学生を集めなければならず、それは財政的な問題から来ていると思われる。」

 


PIE News:UK still looking to “expand and grow” international numbers


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