2022年11月23日、Guardians紙は英国国家統計局（Office for National Statistics: ONS）の調査でイングランドの学生は財政困難にあり、その対策として4分の1が追加融資を受け、10人中3人は講義や個人指導をコストの節約のためにさぼっていることが分かったことを伝えた。

 
調査に回答した学生の10人中9人（91％）は生活費に不安を感じており、45％は秋学期の間にメンタルヘルスが悪化したと答えている。学生が生活費危機の忘れさられた犠牲者になる危険が警告されている中、5人に1人は来年まで学業の停止を考えていると答えている。3分の2近く（62％）が食品購入を控え、5分の2近く（38％）が節約のためガスや電気の利用を減らし、半分以上（52％）が貯金から補填していると回答している。4分の3以上（77％）はこの危機が学位取得にどれだけ影響するか不安であると答えている。10人に4人（40％）は節約のためキャンパスに登校せず自宅で勉強することが多く、5人に1人（21％）は可能であれば、なるべく遠隔で授業に参加していると答えている。

 
ONSのTim Gibbs氏は「我々が調査するほとんどの成人と同じく、今回の調査では高等教育にいるほとんどの学生は生活費の上昇の影響を受けていることを示している。しかし、一部の学生は学業上の影響の可能性もあり、節約のため必須科目でない科目を履修せず、学業における他の選択肢である、学業の中断なども検討する学生もいる。」と述べた。

 
イングランドの様々な大学の学部生を中心とした4,201人からの回答によるこの調査では、29％が節約のため、必須科目でない授業や個別指導を履修せず、また31％はコスト削減のため現地調査や会議の参加を避けていることが分かった。5人に1人近く（18％）は実家に戻り、そこから通学を検討しており、6％はそれを計画していると回答した。19％の学生が学業を中断し、来年から再開することを検討していると答えているが、実際に計画しているものは1％のみであった。

 
同様に、19％は大学での講義から遠隔授業への切り替えを検討しているが、2％のみが実際に計画している。生活費の危機は将来計画にも影響を及ぼしており、3分の１以上（34％）が大学卒業後にさらに進学する可能性が低いと答えている。
4人に1人が生活費上昇のため新たな融資を受けた（さらなる借金もしくはクレジットの利用）と回答しており、3分の2（60％）が学生ローンのみで暮らすことは十分でないと答えている。

 
家族に資金融資を求められるのか、という質問に対しては、ほぼ半数（48％）は不可能であると答えている。多くの大学では生活費の危機で最も影響を受けた学生に対して財政支援を行っているが、今回の調査で回答した者の16％のみが奨学金の申請を行い、7％は自身の大学の困難基金に申請、5％はその他の財政支援に申請を行っている。

 
英国大学協会（Universities UK: UUK）の会長でUniversity of West England Bristolの学長であるSteve West教授は「学生はこの生活費の危機の中で忘れ去られるグループになる可能性があり、政府は我々と協力し、生活費が高騰し勉学を継続できなくなる前に学生と対象をした困難基金の提供をすることが必要である。」「もしそのようなことになるのであれば、国として優秀な人材を失い、学生にとって希望、機会、可能性、社会の流動性を押しつぶすことになる。それを許すわけにはいかない。」と答えた。

 
24時間週7日間のサービスを学生に提供しているEndsleighの学生支援プログラムからの別の報告書によると、学生から支援を求める電話が39％増加し、学生の住宅に関する問い合わせは46％増加した。Endsleighはうつ病に関する学生からの問い合わせは70％増加していると述べた。教育省の広報担当者は、政府は2022/23学事年度において困難に直面する学生に対し、2億6,100万ポンドを用意していることを述べ、「多くの大学は様々なプログラムを通して素晴らしい支援を行っている。学生で自分の環境に不安があるものは大学相談することを勧める。」と述べた。

Guardians：
Nine in 10 students in England worried about cost of living, survey finds

Office for National Statistics:
Cost of living and higher education students, England: 24 October to 7 November 2022