【ニュース・イギリス】英国政府、EUからの資金の不足の補填のため英国研究におよそ5億ポンドの投資を約束

 
2022年11月21日、ビジネス、エネルギー、産業戦略省(Business, Energy, and Industrial Strategy: BEIS)はEU離脱に伴いEUからの資金不足に対して投資を約束したことを発表した。これにより研究者、大学、研究機関に対して必要とされる臨時資金として英国全土に提供されることになる。

  • ビジネス大臣はEUのプログラムであるホライズン・ヨーロッパ、ユーラトム、核融合エネルギーへの英国の参加が拒否されているため、英国の研究支援として4億8,400万ポンドの目標投資を発表した。
  • その内容は研究者、大学、研究機関に必要である臨時投資として提供される。
  • この資金は英国全土に届けられ、研究とイノベーション促進を図る。

2020年に貿易・協力協定下で合意されたホライズン・ヨーロッパおよびその他のEU科学関連プログラムへの英国の参加は、最終決定をEUに拒絶されていることで、ビジネス大臣は、英国の研究分野の支援のために4億8,400万ポンドの支援提供を発表した。

 
これらの投資は、対象となる大学や研究機関での職員の確保、地元の人材戦略に焦点を絞り支援するもので、英国の研究機関が世界のトップで研究開発の最先端であり続けることを狙うものである。
また、この資金は英国で急成長している核融合産業の成長のきっかけとなり、英国が核融合の世界的リーダーとしての地位を維持し、構築するものである。

 
同日発表された支援は、ホライズン・ヨーロッパの保証スキームによるもので、ホライズンの研究助成金を勝ち得た研究者に引き続き資金提供し、英国の研究者と企業が引き続き共同研究を国際的に継続できるようにしたものである。
その内容は

  • 3,000万ポンド人材と研究維持基金: これはEUから人材ベースの資金を獲得した経歴のある大学や研究機関に対し、人材確保、地域レベルでの弱点の対応を目的として支援するもの。
  • 1,000万ポンドの質関連(QR)基金とイングランドの大学と分権政府への追加基金:これは人材と研究維持基金の補助的なものである、英国の優秀な研究のため重要な研究者や技術者の雇用、新たな研究分野の維持など、1度限りの後押しをするものである。
  • 2,000万ポンドを分権政府への追加資金と英国研究のインフラのために:1回限りの英国の研究インフラ促進のためのもので、UKRI World Class Labs なども含み、全国の研究機関や大学に必要な研究設備への投資、優れた研究基盤の維持を図る。公的研究機関(国立物理研究所、気象庁など)に対し、国際的に優れた拠点の地位の維持を図るための資金を提供する。
  • 4,210万ポンドの核融合産業プログラム:これはチャレンジファンドを通して核融合に関する重要な技術的な課題に英国企業を関与、支援していくように設置されており、能力の構築と商業化のイノベーションの促進を図り、英国の核融合分野を活気づけさせるものである。
  • JETオペレーションに8,400万ポンド:これは世界最大で最高の核融合実験装置であるJET(Joint European Torus)を支援しており、貴重な新しい知見とSTEP(Spherical Tokomak for Energy Production)など他の英国の核融合プログラムを支援し、事業の継続を図るものである。

 


ビジネス、エネルギー、産業戦略省(Business, Energy, and Industrial Strategy: BEIS):
Government commits nearly half a billion pounds for UK research to cover EU shortfall


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