【ニュース・イギリス】大卒労働市場の陰りが見え始めている

 
2022年10月19日、University Businessは、大卒の労働者市場は実質的な給与削減や雇用凍結にもかかわらず楽観的なものがあると、Institute of Student Employers(ISE)の調査で分かったことを発表した。  

 
ISEが同日に発表した調査報告によると、大卒労働市場に陰りが見え始めている。

 
ISEが年次で発表している学生採用調査では、大卒者の求人数は今後1年間で2%の増加が見込まれているが、これは前年と比べると2021/22学事年度では17%、2020/2021学事年度では9%であったことから、減少していることが分かった。

 
一部の雇用者は採用凍結を行っているか、もしくは採用レベルが現在、不確実であることを述べている。実質的な賃金も低下している。一般的な新卒の年間収入は30,921ポンドで2021/2022年度と比べ1.4%増加しているが、インフレ率は8.6%であるので、実質的には7.3%の削減を意味する。

 
「英国の現在のインフレ率のため、新卒者は実質給与の減少を経験していることを心配している。」とISEの最高責任者であるStephen Isherwood 氏が述べた。

 
「雇用者は給与の見直しの時には新しく採用したものより既存の労働者のことを優先する傾向がある。一方、新卒者は就職してから高額な部屋代や通勤費を目の当たりにすることがしばしばある。」調査の回答者は、今後1年の間に新卒者枠を2万人採用する予定であると回答しているが、高卒枠の採用は2021/22年度の5,000人の空きが、今年は6,000人以上の空きとなることが予想されている。

 
今後数年間で採用を減らす理由として、危険な不況の兆候を多くの雇用者が挙げている。

 
「新卒の採用担当者は現在の経済状況に対して慎重になっている。多くが人材不足に直面するが、我々の過去のデータから見ても、景気の悪化は採用数の減少につながることを示している。」とIsherwood 氏が述べた。

 
そうはいっても、40%の雇用者が大卒職を埋めることは至難の業であると言っている。特定の分野での人材不足は続いており、毎年新卒採用枠は約10%が埋まることがない。

 
その理由として、昨年1年間の間の応募件数の減少がある。1つの欠員枠に平均で62件の募集があるが、2020/21学事年度では91件だったので激減している。

 
その他の要因として、新卒者の採用取消である。この割合が過去最高となり、12%に達した。(前年から7%上昇)

 
新卒者労働市場は一部暗い見通しが示されているにもかかわらず、Isherwood 氏は求職者に楽観的なものがあると主張している。

 
「新卒のプログラムは現在募集中で、雇用者はCovid-19以前よりも多くの新卒者を採用している。」

 
「学生は前向きであるべきで、早めに申請する必要がある。もっと厳しくなる可能性あるので早めの行動を。」と述べた。


University Business:Graduate labour market showing signs of downturn – report (PDF)


地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
人材育成 学生の就職