2022年9月14日、Research Professional News は研究者が Covid-19 流行時の対応を調査し、国は政府と科学的アドバイスを切り離すべきという提言をしたことを伝えた。

 
英国では政府への科学的なアドバイスはもっと自律性と透明性があるべきであると、University of Michigan の公衆衛生大学院の助教である Holly Jarman 教授とその同僚たちが British Medical Journal に論文を発表した。この論文では、Covid-19 の流行の際、英国、フランス、ドイツの対応に関して分析をしている。

 
「英国の科学諮問の構造の弱点は、アドバイザー間の自律性の欠如（政府によって選出した質問に答えるふりをしている）であり、全体的に透明性は劣っている。」と書かれている。

 
「英国の行政職員や政府関係機関は伝統的に大変透明性に欠け、もしくは中央行政から独立したものではない。政府の影響力はこの数十年の間に全ての政党によって高くなってきた。英国科学諮問機関もその例外ではない。」

 
「その結果、様々な決断があまりにも早急に、あまりにも少ない人数で、あまりにも貧弱で問題視にもされない正当性により下され、英国の一連の政策の失敗の特徴となった。」

 
英国の緊急時科学諮問グループ（SAGE）は「政府の威厳の陰で助言」を提供し、「望んだアドバイス」を得ていた、と著者は政府を批判し、「政府の反対を予期しているようであった」と述べた。

 
例えば、論文中には「SAGE と政府関係者による会議の議事録によると、英国政府は当初、知りたかったことはウイルスの拡散における異なる政策の影響と拡散による、医療の関係性であった。健康行動もしくは政策の兼ね合いなどの理由で、社会科学としての幅広い助言には興味がなかった。」

 
政府が受けた幅広い科学的助言の透明性の問題について、科学者たちが述べているのは、「フランスと英国では、上級官僚、アドバイザーと政治家が、公衆健康の専門家や専門機関を脇において、コンサルタント会社を利用して助言を作り上げた。」と述べている。

 
科学者たちは秘密主義において、行政職員やアドバイザーはトップに「とても受け入れ難いアドバイス」をできるが、それは「政治家が責任を他人に押し付けることができる。」ことを可能にした、と述べている。

 
注目の SAGE

 
SAGE もまた、Covid-19 の流行の当初はその人選基準やアドバイスに関する秘密主義についてかなり激しく批判された。しかし、その後2つの問題に関してオープンになり、論文でもそれは認めている。

 
「英国のシステムで透明性が Covid-19 の流行中に改善されたとしても、自律性は改善されなかった。」と論文に書かれている。

 
専門家は「政府によってその人選を管理され、付託条項により委員会の中で、事務局も提供され、政府の首席科学顧問が議長を務めることができたであろう。」と述べている。

 
可能な改善策について、論文では、英国政府はドイツの科学的助言システムを学ぶように提案している。これは「科学助言と政治的な決断が明確に分かれていている」からである。「政府のトップたちは、科学について間違えて伝えていないことをわかってもらうことで、Covid-19の流行の対応で国民の信頼に貢献した。」とある。

 
「透明性のある科学的な助言の政治的な役割は、政治的な決定を可能にするだけでなく、Covid-19 の流行で見られた失敗に対する説明責任をも果たすことになる。」と結論付けている。

 
最後に著者たちは、現在行われている政府の Covid-19 の流行の対応に対する国家的な調査に対して質問を挙げている。：

• SAGE やそのほかの政府科学諮問機関の透明性を上げるのになぜこれほどの時間がかかったのか？
• SAGE は政府によって出された質問に答えていた。その質問に対して言うべきでないことや思い込みなどで、その結果の方向付けをしたのか？
• 公衆衛生政策の兼ね合いや、より幅広い政策の実行に関して政府はどこから助言を得たのか？
• なぜ英国の科学顧問たちは政府からの自律性があまりにもないのか？

Research Professional News は政府の科学局、内閣省にコメントを求めた。保健省（DHSC）はコメントを拒否した。

Research Professional News：　UK science advice ‘lacks autonomy and transparency’