【ニュース・イギリス】英国新首相にLiz Truss氏 - 英国のホライズン・ヨーロッパの行き詰まりに関し変化は期待されていない

 
2022年9月6日、Science Business は英国の新首相就任におけるホライズン・ヨーロッパの影響を報告した。英国および海峡を挟んだヨーロッパ大陸の研究者は、英国が955億ユーロの研究プログラムの参加を希望しているが、トップの交代で政治的な行き詰まりが終了するという楽観的な変化はほとんどない。Liz Truss が英国の新しい首相になったが、ブラッセルの研究者コミュニティは Truss 氏の指導力が英国のホライズン・ヨーロッパの参加をめぐる対立を終了させることの助けになるかどうか疑いを持っている。

 
「これは予想されており、ブラッセルの雰囲気は全く変わっていない。次は正式な協議を行うことである。希望は無限に広がることになる。何か新しいことが始まるのであれば、その協議と関連したことであろう。」 

 
欧州大学連合 の政策調整・展望担当部長である Thomas Jørgensen 氏が語った。英国王立協会の会長である Adrian Smith 氏は「Truss 氏は科学とイノベーションの発展ために投資、スキル、国際提携を支援の優先をする必要がある。科学はグローバルであり、Brexit の影響は、英国をますます孤立させている。前政権は、英国の EU の科学助成金プログラム制度に参加するべき全力を尽くしていたが、それから2年たっているが未だに待たされている。」「待っている間、英国の科学の信頼が衰退してきており、また、人材も失ってきている。新首相が Brexit の科学的な部分の問題を終了させるのであれば、それは本当の勝利となる。」と述べた。

 
995億ユーロの研究プログラムにEU加盟国と対等に参加する英国のホライズン・ヨーロッパの協定は、2020年 Boris Johnson 氏の指導の下、合意された。しかし、経済政策を人質に取られた。欧州委員会は、北アイルランド議定書に関する論争が解決するまで参加を阻止している。

 
過去1年に渡り、どちらからも譲歩する姿勢を見せなかった。先月、Truss 氏はすでに保守党党首争いのキャンペーン中にもかかわらず、外務大臣として、EU に対してホライズン・ヨーロッパの参加阻止に関しての法的処置を開始した。法的処置のタイミングは政治的であったが、法的協議によってなんらかの突破口になるのではという期待するものもいる。EU-英国間の貿易・協力協定の中に設定されている規則によると、今年の年末までには何かしらの結論を出さなければならない。

 
しかし、全ての人たちは Truss 氏が政治的な動向に続き、この行き詰まりを終了するための確固とした努力をするとは思っていない。「彼女のホライズン・ヨーロッパに対する英国の法的処置はなかなか賢明なやり方であった。選挙戦で必要だったものは得ることができたのだろうか?それとも首相となってしまった今、これ以上のことをするのであろうか?はっきりしていることは、彼女は日常的に政治的な点稼ぎをしたい人であるので、ホライズン・ヨーロッパへの英国の参加が実現すれば、良い結果となるであろう。」と欧州研究大学連合(LERU)の書記長である Kurt Deketelaere 氏が話した。

 
研究慈善団体 Wellcome Trust の政策部長である Beth Thompson 氏は、ホライズン・ヨーロッパへの参加を最も重要な優先事項としており、英国としても、参加に関しては切望している。「科学おいて英国の世界的な役割を定着することは偶然で起こることではない。この役割は政府全体で優先事項に合意し、計画を実行できる科学大臣によって監督されるべきである。」と Thompson 氏は述べた。

 
政策の保留

 
党首選が終わったことで、政策がまた注目されると希望を持つ者もいる。Science and technology university association (CEAER)で書記長とされている Mattias Björnmalm 氏は「党首選により、多くの重要な課題が多く保留となっていたため、今回明確にすることを歓迎する。」

 
「現在、主要な閣僚の任命など、新政府の完全な発足を待っている状態である。しかし、もちろん、この更新が英国および EU にとってお互い利益となる、科学提携の重要な分野を解き放つ推進力になることを願っている。」と語った。

 
EU 離脱後の外務大臣として、Truss 氏は EU 関連の問題に対し強硬路線を維持し、すでに EU との合意の条件を覆すための緊急手続であるEU離脱防衛協定第16条を発動する可能性を示唆している。 Deketelaere 氏は、科学コミュニティはEUと協力し取引を行使する英国首相が必要であるが、Truss 氏に何を期待するかについては慎重である。

 
「これが現実的かどうかわからない。彼女のこれまでの実績からそのような態度を示唆するようでもない。残念ながら、彼女は政策をイデオロギー的なやり方で対応しており、現在我々が必要としているものではない。

 
特にホライズン・ヨーロッパへの参加に関してはそうである。」と Deketelaere 氏は述べた。現在、英国の科学という船は航海を続けている。金曜日には、UK リサーチ・イノベーション(UKRI)は、その中の9つの研究会議のうち8つが今後3年間で年間79億ポンドの研究費を支出するという計画を発表した。一方、ホライズン・ヨーロッパに申請したが、プログラム参加の混乱で請求できなかった科学者には引き続き資金提供される。先週、英国政府は今年末に締め切る応募に対しても支援することを発表し、研究者から歓迎された。


Science Business: Liz Truss named UK prime minister – but little change is expected in Horizon Europe association deadlock


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