【ニュース・イギリス】過去最高の記録的な高等教育への進学率

 
2022年8月18日、大学入試機関(UCAS) は今年の傾向を結果発表日に発表した。今年は、資格試験実施が再開され、2019年と比べて19%多く、英国18歳の第一志望及び滑り止めの大学への進学を果たした。425,830人の学生が大学及びカレッジへの進学が決まった。これは、過去2番目に多い進学数で、2019年(最後に試験が実施された年)と比べて16,870人多くなっている。これは2021年に教師が評価した成績をもとに大学へ進学した最高のレベル時よりも2%低い。下の表は過去10年間の出願者数の変化を表している。
 

過去10年間の UCAS への出願者の推移
 

 
最も恵まれない環境出身の学生が49,850人受け入れられ、2019年より3,770人増加した。つまり、最も恵まれない環境と最も恵まれている環境の学生の大学進学の格差は2019年の2.36、また2021年の2.34から2022年の2.29となった。

 
また、今年は最初の Tレベルの学生370人(志願者の71%)が高等教育への進学を決めた。

 
UCAS を通して大学進学を決めた留学生は、フルタイム学部生総数の12.3%を占めており、ピークだった2019年の14.7%より低下している。2022年は、中国(+35%)、インド(+27%)、ナイジェリア(+43%)など継続的に学生数が増加した国があった。

 
同日、20,360人はまだ大学から受け入れられていない(2019年では24,260人)が、学部コースで学ぶことを希望している。UCAS の個人向けクリアリングプラスサービスは、適切なコースを探すことサポートしてる。また、500件の高等学位技能訓練コースなど3,700件の技能訓練コースや職種も Ucas.comで紹介されている。

 
UCAS の最高責任者である Clare Marchant 氏のコメント:

 
「まずは一生懸命頑張り、今日という結果発表日を迎え、結果を受け取った皆さんにお祝いの言葉を伝えます。

 
今年度は一年を通し、試験実施再開が、高等教育の進学にとって何を意味するか多く議論された。本日、前回の試験より多くの学生の進学が確認された。

 
今年は18歳人口が増加しており、このような状況があと10年続くと言われており、今後はより競争の激しい環境を作り出すであろう。

 
結果を祝う人もいれば、がっかりしている人もいるであろう。私からのアドバイスは、クリアリングでの27,000以上のコースや様々な実習の機会を幅広く活用することである。US はそんな皆さんのためにある。」

 
大学入試機関(UCAS)This year, 19% more 18 year olds in the UK have gained a place at their firm or insurance choice compared to 2019, following the return to examinations.

 

関連記事:
2022年8月18日、BBC News: Five key takeaway from this year’s A-level result divide grows:

 
BBC News は、A レベルの結果から見る5つの重要なポイントについて結論付けた。

 
今年の試験は通常の A レベルの試験ではなく、学習の中断を3年間余儀なくされた学生が受けた試験であった。学校の閉鎖は、地区の状況や学習の遠隔学習の移行ができたかどうかなどによる。また2020年のGCSE試験が中止されたことで、今年Aレベルを受けた学生は一度も公な試験を受けたことがないという点でも特殊であった。

 
このような混乱の対処のため試験の内容が事前情報として導入された。それらを踏まえて今年のAレベルの5つの重要点を上げる。

 
1,優秀な成績が低下

 
イングランド、ウエールズ、北アイルランドのAレベルの優秀成績の割合が昨年と比べて低下した。A*もしくはAの割合は36.4%で、昨年は44%であった。しかし、この割合は最後の公の試験を実施した2019年と比べて高い。もちろんある学生はがっかりするであろう。

 
しかし、優秀成績の低下は、2020年と2021年で試験が中止され、教師の評価に基づいた結果の上昇を引き下げるようとする、イングランドの試験監視機関である Ofqual によって発表された計画の影響でもある。このような計画はウエールズや北アイルランドでも実施された。大学に進学する人々にとって、名門な大学やコースでは、最も厳しい競争となった。しかし、UCAS は英国の大学に願書を提出した学生の65.3%は、第一志望大学から受け入れられたと発表している。
 

 
2.イングランドでの地域の間での格差は依然と存在する。

 
ロンドンでは、A* もしくはA成績獲得の割合は39%で、イングランド北東部では30.8%であった。昨年はロンドンでは47.9%、北東部では39.2%であった。今回 A レベルの成績を手にした学生たちは、11年生の半ばでコロナ禍となり、断続的なロックダウンによる学校閉鎖を経験した。12年生の時、さらに学校閉鎖があり、多くの生徒が13年生当初にコロナ禍による混乱に見舞われた。

 
しかし、混乱はすべての生徒に平等に影響を与えなかった。どの地域に住んでいるかによってその経験は異なり、また、在籍している学校や自身の家族がこの学校閉鎖中にどれだけ対応できたかにもよる。今年3月には国会議員たちが、Covid-19によるイングランドの学校閉鎖の「破壊的な」影響がさらなる不平等を広げていると述べた。

 
そのような影響を受けている地域に対し、教育省は最も授業が遅れている生徒への支援のため、補習授業を導入した。一部の地域でもその支援は続けられているが、今年9月よりイングランドでは、その支援金が直接学校に行くことになる。これまでは、政府に指定された企業が学校と補習授業担当者を斡旋していた。
 

 
3.公立校と私立校の格差が縮まった。

 
イングランドの試験監視機関であるOfqualによると、イングランドの私立校の学生の58%が、A* およびAの成績を収めたが、公立校では30.7%であった。

 
学費が有料である私立校は、教師による評価が基本となった昨年において特に良い成績を収めている。2021年には、私立校で A 以上の成績を収めた学生の割合は70.4%に対し、公立校では39.4%であった。

 
パーセンテージポイントの格差が縮まってきているとは言え、依然として差は存在している。優秀な成績の学生は、最も競争力の高い大学や学部への進学を争うことになるため、これは大変重要なことである。ロックダウン中に学校閉鎖があり、学生は遠隔授業をしなければならない時、全ての学生が学術的、感情的な同じ支援を受けているわけではない。

 
ある学校では、遠隔学習のためにラップトップのコンピュータを学生のために用意した所もある。そのような学生は、自宅でのインターネットアクセスがより可能で、また、学習するためのスペースを確保することができたかもしれない。
 

 
4.再び女子が男子を超えた。

 
今年の A レベルの成績では全体的に女子が男子よりも良い成績を収めた。

 
これは優秀な成績を収めた割合も含まれる。37.4%の女子が A* もしくは A を取り、男子は35.2%であった。その格差は2021年の教師の評価に基づいた成績と比べ縮小している。教師の評価では優秀成績を収めた女子は46.9%で男子は42.1%であった。コロナ禍前に行われた2019年の試験よりも性別による格差は大きい。以前の試験で優秀成績を収めた率は女子が25.5%で男子が25.4%であった。今年の試験は通常に戻った試験ではないということを覚えておくことが重要である。学生は試験に向けて試験情報を受け取っている。

 
5.地理が英文学を人気科目トップ10から引きずり下ろした。

 
A レベルの科目で最も人気のある上位10科目は:

 
 1.数学
 2.心理学
 3.生物学
 4.化学
 5.歴史
 6.社会学
 7.アート・デサイン系
 8.経営学
 9.物理学                                
 10.地理学

 
トップ10 の中で、昨年と比べ最も人気が増えた科目は心理学で、その後に経営学、社会学が続く。ドイツ語は3.5%増え、フランス語とスペイン語はともに減少した。一方で英文学は9.4%減少しており、この傾向は教師の間で懸念となっている。Association of School and College leaders は以前、学生たちは「大量の古文の暗記」が重要な科目への意欲をなくすと指摘している。

 


BBC News: Five key takeaways from this year’s A-level results


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
研究支援 研究評価