【ニュース・イギリス】英国、科学プログラムへの参加に関するEUとの正式な協議を開始

 
2022年8月16日、外務・英連邦・開発省(FCDC) は、EU の科学プログラムへの英国の参加をめぐる論争の解決に向けて、協議を開始するよう欧州委員会に書簡を送付した。

 
政府は、ホライズン・ヨーロッパなど、EU の科学プログラムへの英国参加に対し、いつまでも続く遅延の解決のため正式な協議を開始した。正式な協議は、英国と EU 間の闘争の解決に向けた、英国と EU 間の 貿易・協力協定(TCA)の規定に関するものである。

 
英国は、2020年の TCA の一環としてEUの科学・イノベーションプログラムなどへの参加を交渉した。しかし、18か月以上経過したが、EUは英国の最終的な参加に関して拒否しており、英国と EU 加盟国との研究開発に深刻な障害が出ている。

 
この遅延により、英国は EU の重要な研究及びイノベーションの資金提供プログラムであるホライズン・ヨーロッパや、気候変動のデータを提供する地球観測プログラムであるコペルニクスへの参加ができなくなっている。その他にも原子力プログラムである Euratom や宇宙監視・追跡プログラムのサービスへの参加にも影響が出る。現在、政府は欧州委員会に対して、闘争の解決手続きを開始し、この協定に対して義務を遵行するように書簡を送付した。

 
外務大臣 Liz Truss 氏のコメント:

 
EU は我々の協定に対してはっきりと違反をしており、これらの重要なプログラムの参加を最終的に拒否することで、重要な科学協力を政治的に利用することを何度も行っている。このような行為を許すことはできない。そのため、英国は正式な協議を開始し、科学界の保護のためできる限りのことを行うつもりである。

 
欧州担当大臣の Graham Stuart 氏のコメント:

 
この問題の英国の広範的な関与にもかかわらず、合意した科学プログラムの英国の参加を手助けしなかったことにがっかりしている。英国と EU は、ネットゼロから世界の健康問題、エネルギー安全保障など共に課題に取り組み、これまで以上に協力していく必要がある。正式な協議を通して建設的な関与を期待する。

 
UK がホライズン・ヨーロッパに参加することは英国と EU の双方にとって利益のあるものである。英国は科学・テクノロジーの世界的リーダーであり、世界でも有数な大学を持ち、Covid-19 に対しても世界的な努力を先導してきた。英国はホライズン・ヨーロッパだけでも約150億ポンドの予算を確保している。

 
EU の研究やイノベーション界では欧州委員に対して、英国に対するこれらのプログラムへの参加を呼び掛けてきた。英国政府も経済的、社会的な課題に引き続き取り組んで行くため提携を求めている。

 
参加ができなくなった場合は、政府は英国の科学者や研究者のために支援する代替プログラムを用意している。政府は、この問題を解決するために欧州委員会と協力する用意があり、協議する中での建設的な関与を期待している。


外務・英連邦・開発省(FCDC)UK launches formal consultations with EU over access to scientific programmes

  
参考記事:2022年8月16日 BBC News: UK government enters endgame in Europe research standoff
UK government enters endgame in Europe research standoff


地域 西欧、EU
イギリス
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