【ニュース・イギリス】英国の研究者は勤務時間中に研究に費やす時間は3分の1しかとれない

 
2022年8月8日、Research Professional News は英国の研究者は就業時間のうち研究には3分の1しか費やしていないことを報告した。管理業務や会議の時間が多いため、教員はさらに低い数字である。英国の研究者で研究のみで雇用契約している研究者は、研究時間の3分の1強を研究に使っていることが報告された。この数字は、研究と講義をする研究者においてはもっと低く、勤務時間で研究の時間はわずか14%であった。これは最近政府の委託を受けた官僚主義の研究によって明らかになった。

 
研究のみを行う研究者の場合、勤務時間の7%は事務業務で費やされ、5%が学部内の会議、8%が外部会議で費やされている。その他の業務として、大学院生の指導(7%)、助成金申請の執筆(6%)査読(3%)、研究資金提供機関との関わり(4%)などもあった。教鞭も取り、研究をする研究者の場合、教育の時間が最も多く(29%)、学生管理、指導の時間が18%であった。

 
英国の研究システムのいたるところに官僚主義がはびこる。

 
先月発表された Independent Review of Research Bureaucracy からの数字は、2016年に 英国大学組合(UCU)が18,000人の研究者を対象に行った調査によるものである。

 
このレビューは、University of Birmingham の学長である Adam Tickell 教授が行ったもので、「英国の研究システムの至るところで不必要な官僚主義がはびこっている。」と述べ、助成金申請過程の合理化など、お役所的な業務の削減のための数々の提言をしている。

 
政府はこのレビューに対する回答を今年末に行う予定である。

 
Tickell 教授は米国、オーストラリアの研究における官僚主義的負担に関する研究も引用している。その中で、「米国では研究計画の執筆と準備にかかる平均時間は116時間(主任研究者)と55時間(共同研究者)と推定され、研究計画書の作成にかかる時間は決して、成功することに影響がないことが分かった。」と述べている。

 
「オーストラリアで行われた健康分野を専門とした研究資金に関する同様な調査では、新しい研究計画書の準備に平均34日もかかり、もっと時間をかければ成功するというわけでもないということが明らかになった。」と述べている。

 


Research Professional News: UK academics spend only third of their time doing research


地域 西欧
イギリス
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人材育成 研究者の雇用