【ニュース・イギリス】2022年、Aレベルと大学進学

 
2022年8月4日、Sutton Trust は2022年の A レベルと大学進学に関する新しい報告書を発表した。

 
報告書の概要

 
今年は2019年以来初めて試験が実施され、全国の学校やカレッジで Covid-19 以前の通常な状態へと戻ることになった。しかし、今年受験する若者たちは、教室に戻り授業が再開されても、何年にもわたる教育の混乱に直面するだろう。今年の試験においては緩和処置が取られており、若者の支援のため、全国の学校で補助学習などの支援が行われている。

 
しかし、これらの努力は Covid-19 関連で失った学習を十分に取り戻せるのであろうか?それが大学進学において何を意味するだろうか?

Erica Holt-White 氏と Rebecca Montacute 博士の共著であるこの報告書は、今年大学に進学希望を出している若者や、今年の試験を受けた学生を知る教師の意見も考慮し、未だに続く Covid-19 による混乱を調査している。

 
主な結果

 
継続する混乱と補修授業などのサポート

  • Covid-19 の混乱は未だに続いている。今年、大学進学を希望した学生の3分の1(34%)は、Covid-19 関連の理由で、11日間以上学校やカレッジを昨年の学事年度中に休んでおり、21%が20日以上休んでいる。
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  • 公立学校の大学進学希望者の多く(74%)は、昨年中に少なくとも1種類の補習授業を勧められ、半分以上(56%)が少なくとも1つの補習授業を受けている。
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  • 今年の大学進学希望者の62%は、Covid-19 の混乱がなかった場合と比べて勉強が遅れていると感じている。この数値は、公立校(64%)の方が私立校(51%)より高い。

試験の緩和処置と準備

  • 今年試験に関係した教師のおよそ半分(45%)は、Covid-19 関連で起きた混乱を考慮した十分な緩和処置が進んでいないと思っている。この数字は、公立校の教師(46%)の方が私立校の教師(38%)より高い。
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  • A レベルの教師の多く(80%)は、ほとんどの科目で事前情報として試験内容が発表されたその内容に対して、90%以上の内容を網羅したと回答している。半分以下の内容しか網羅できなかったと回答した教師はいなかった。また、同様な割合(75%)は、授業内容全体の90%以上を網羅できたと回答している。
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  • 大学進学希望者のAレベルの学生は、試験の事前情報が役立った(76%)と答えている。しかし、今年の試験は Covid-19 による学生の学習の影響を考慮していると答えたのは、52%の学生にすぎなかった。
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  • 半数以上の教師(57%)は、今年の Ofqual の成績境界(Grade Boundary:それぞれの成績の達成するための最低点)の方法に同意している。しかし、少数派(29%)は厳しすぎると感じており、この割合は公立校(30%)の方が私立校(23%)より高かった。

将来への不安

  • 64%の大学進学希望者は、自分の成績に不安があると答えている。昨年の回答よりも8%ポイント高い。今年は4人に1人(27%)が大変心配している。
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  • 自分の成績に不安を感じていることに対して、労働階級出身の学生の70%は中流階級出身者の学生62%に対して8%ポイント高い。
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  • 60%の大学進学希望者は、第1希望の大学に入れるかどうか心配している。71%の労働者階級の大学進学希望者は、進学できるかどうかを心配しており、これは中流階級(58%)の学生より13%ポイント高い。

提言:

  • 恵まれない環境出身の大学進学希望者で、わずかに成績が満たずにオファーを逃したものに対して、大学受け入れ、試験、採用決定に際しもっと考慮するべきである。大学、雇用者、カレッジ、そのほかの訓練所は、今年試験を受ける者に対して、特に恵まれない環境の学生は過去数年間かなりの混乱に直面しおり、試験制度が COVID-19 で受けた影響のそれぞれの個人の損失に対して何も考慮していないことを覚えておく必要がある。
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  • 学校、カレッジ、訓練所、大学は、試験結果日には適切なサポートを準備しておく必要がある。今年の結果日は特に厳しくなる可能性があり、どこの大学からも受け入れられなかった学生の場合、計画を調整する必要が生じる可能性がある。学校、カレッジ、訓練所、大学は、次のステップを早く決定しなければならない若者のために、適切な支援が十分に実施される必要がある。
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  • 大学は、1学期中の早い段階で重要な学習の格差を特定するべきである。今年高等教育機関に進学する若者は、追加的な支援やサポートが必要である。学生がコースで成功するために必要な、重要分野の学力開発を支援する計画が必要である。
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  • 大学は、新入生の心身の健康をサポートする必要がある。我々は未だに若者に対する影響を調査中ため、高等教育への移行期には、追加的に心身の健全さを保つことやメンタルヘルスのサポートが必要である。
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  • 政府は、学校、カレッジの学生に対する補習授業支援のための追加資金を提供するべきである。Covid-19によって必要となった需要を満たすレベルの資金を用い、16-19歳の教育を含む将来の学生のために、政府により補習授業計画が行われるべきである。これは、16歳以降の教育の生徒への特別処置として適用する必要がある。
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  • Ofqual は、今年行われた緩和策の見直しを行い、利用した教師、若者の意見を考慮し、2023年に適応することを検討する必要がある。来年の試験を受ける学生は学校やカレッジに戻る時間が長くなるが、それでも Covid-19 の影響に直面するので、来年の試験でも考慮するべきである。Ofqual は、今年のやり方を慎重に見直し、現在の計画を再確認し。成績インフレを Covid-19 以前のレベルに戻すなど、来年の緩和策で学んだことを反映するべきである。

Sutton Trust: A LEVELS AND UNIVERSITY ACCESS 2022


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
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