【ニュース・イギリス】英国政府、科学超大国としての英国の地位を強固にする研究開発ロードマップを発表

 
2020年7月1日、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は、全世界の優秀な人材を惹きつけるとともに、不必要なお役所仕事を削減し、世界トップレベルの科学超大国としての英国の地位を強固にするために研究開発ロードマップを作成したと発表した。これにより景気回復を促進するとともに英国をレベルアップする手助けとなる。

 
主な内容は以下の通りである。

  • 政府は、新たなかつ野心的な研究開発ロードマップにより、科学者、研究者及び起業家にとって英国が世界で最高の場所であることを保証する。
  • 研究開発ロードマップは、不必要なお役所仕事を削減し、世界トップレベルの科学超大国としての英国の地位を強固にするためのビジョンを設定する。
  • 3億ポンドもの政府の投資は、英国中の科学インフラをアップグレードする。
  • 世界中の優れた科学者、研究者及びイノベーターが英国により来やすいように新たに「人材局」が創設される。

 
3億ポンドの資金は、政府の「World Class Labs funding scheme」により、英国中の科学インフラもアップグレードする。当該資金により、研究機関や大学が、英国の研究者がより優れた研究室の設備やデジタル資源に確実にアクセスできるようにするとともに、現行の研究施設を改善かつ維持することを可能とする。

 
当該ロードマップはまた、2050年までに気候変動に対する英国の貢献を完全に不要にすることや新たな薬を開発することから、国家安全保障の強化及び公共サービスを改善することにより、家庭での生活を改善することに至るまで、地球規模の課題に対応する政府の取組を支援する。

 
これを達成するため、政府は以下の点について表明している。

  • 画期的な研究への投資を増加すること、不必要なお役所仕事を削減すること及び英国を最先端の発見において常に先を行くための研究のために野心的かつ新たな目標を設定すること。

     

  • 英国が研究者にとって働く為に最高の場所であることを保証するため一流の優秀な人材を惹きつけ、雇用し、育成すること。多様な人々を惹きつけるすべてのステージでのキャリアを提供すること。政府は、世界中の優れた科学者、研究者及びイノベーターが英国により来やすいように新たに「人材局」を創設する。

     

  • アイディア段階から製品開発に至るまでの間ずっと、いかに政府が研究に支援するかについてレビューし、改善するために新たに「Innovation Expert Group」を立ち上げることで、英国中の世界トップレベルの研究による経済的及び社会的利益を確保すること。

     

  • イノベーションをスケールアップするために必要となる資金で、起業家や新規事業の立ち上げを支援するとともに、英国が最高級の産業及び技術を最大限に活かすことを保証することで、イノベーターやリスクを負う人を援助すること。

     

  • 世界中の科学パートナーからの英国の利益を保証するため国際共同研究を促進すること。これにより、科学・イノベーションコミュニティや研究機関に、貿易、成長及びの影響をもたらす新たな機会が生み出される。

     

  • EU の研究開発スキームにおいて、公平かつバランスの取れた参加協定に合意することを求めることにより、欧州のパートナーと緊密な関係の維持を目指すこと。もし英国が EU の研究プログラム、Horizon Europe のようなプログラムに参加できなかった場合、政府は、いかなる資金供給不足に対応するとともに、重要な英国の研究を支援するための代替スキームを整備することに最大限の努力を投じる。

 
新たな「人材局」は、官邸に拠点を置く省庁横断的なチームである。これにより、学生、キャリアを構築する人々そしてすでに各分野で世界のリーダーになっている人々への英国の人材オファーがこれまで以上に強くなることを保証し、最も才能、将来性、活力及び創造力を備えた人々が、世界中から英国により来やすいようにする。

 
人材局」は、シンプル、簡単かつ迅速にするため、現行のルールの有効性をレビューするとともに、出入国管理制度における優れた顧客サービスを保証するために速やかに作業を開始する。「人材局」はまた、英国に来る人々が提供されている機会をより理解させる手助けをするとともに、彼らが直面する可能性があるいかなる障壁も取り除く。

 
政府は本日、新たな「graduate route」の一環として、2021年夏から博士課程を修了した留学生が、英国に居住し働くために修学後3年間滞在できるようになることを発表した。これまで発表されている通り、学士課程及び修士課程を修了した学生は、修学後2年間滞在できるようになる。これにより、一部の優秀な若い留学生の卒業生が英国において技術を要する仕事を確保し、経済成長に貢献しやすくなる。


ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS): Government fires up R&D across the country to cement the UK as science superpower


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