【ニュース・イギリス】政府、コロナ禍の影響を受けた大学への支援パッケージを発表

 

2020年5月4日、政府はコロナ禍の影響から学生や高等教育セクターを守るため、一時的な入学定員の制限を含む様々な対策を発表した。
主な結果は以下の通り。

 
大学入学制度の安定化

一時的な対策において、高等教育機関は、不安定さを減少させ、公平かつ秩序ある大学入学制度を保証するため、来学事年度、当該セクターによる提案に沿った予想の最大5%上回るフルタイムの英国内の学生を受け入れることができる。政府もまた、国の不可欠な公的サービスを支援するため、看護学、助産学もしくは医療関連の課程のための5,000人分の定員枠を含む追加の10,000人分の定員枠を割り当てるための裁量を持つ。
 

搾取的な大学入学慣行の防止

学生局(OfS)は、もし高等教育機関が当該セクターや学生に有害な取組を行った場合に介入できるよう、新たな一時的な規制条件を導入する。

 
大学の補欠入学制度の強化

大学入試機関(UCAS)は今夏、学生向けに新たに個別化された補欠入学システムを開発している。これには、「Clearing Plus」という、学生の成績と課程への興味に基づき学生を大学もしくは他の機会とマッチングさせる新たなサービスが含まれる。もし学生の試算された成績が予想を超えていた場合、より高い入学要件の別の課程への提案が可能となる。

 
大学の研究資金

政府は、コロナ禍において研究活動が続けられることを保証するための早急な支援対策として、今学事年度、イングランドの高等教育機関に研究のブロック・グラントである「Quality-related research funding (QR)」を1億ポンド支出する。

 
研究の持続可能性に関するタスクフォース

教育省(DfE)ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS) の担当大臣は、コロナ禍の結果として大学の研究が直面している課題にどのように対応するのが最善かを検討するため、地方分権政府とともに諮問組織を立ち上げる。これにより大学の研究はコロナ禍の後に英国経済の回復を支援し続けることができる。

 
政府の経済支援

政府は、大学が、学生局(OfS)の試算によると、場合にもよるが少なくとも7億ポンドの価値があるとされるビジネスローン支援を含む政府の支援スキームに申請する資格があることを確認している。高等教育機関はさらに短期契約のスタッフを含むスタッフの雇用を守るための枠組である「Coronavirus Job Retention Scheme」も利用可能である。

 
学生ローンの支払いの変更

学生ローン会社(SLC)は、高等教育機関のキャッシュフローを支援するため、2020/21学事年度の学生の26億ポンドと想定される授業料の支払いを高等教育機関に前倒しで行う。なお、これはローンの債務、学生に課される利子の額もしくは生活費のローンの支払いのタイミングに影響されない。

 
財政的機会

既存のプログラムや確立された手続きを利用し、教育省(DfE)は土地や建物のような学校及び大学の新設もしくは拡張に使われる資産の購入を検討する。今会計年度、教育省(DfE)は、高等教育機関を含む適切な業者から計画されたプロジェクトの用地を取得するために最大1億ポンドを予算に計上している。

 
学生への経済的支援

政府は、経済的に困難な状況の学生への資金を増加させるため、高等教育機関が、4月と5月に総額4,600万ポンドの既存の資金を使用できることを明確にするために学生局(OfS)と連携している。なお、これには、IT 設備やインターネット環境への支援も含まれる。

 
留学生への支援

英国は留学生を引き続き歓迎しており、大臣は、大学が留学生を惹きつけ続けることができるよう優先事項として政府を挙げて取り組んでいる。教育省(DfE)及び国際通商省(DIT)の担当大臣は、国際教育戦略をコロナウイルスの感染拡大の影響に対応した形に更新するためにどのようにすべきか検討するため、主要なセクターの代表者を含む会合の議長を務めることになる。入学定員の制限は、2020/21学事年度において、英国内の学生及びEU国籍のフルタイムの学部学生にのみ適用される。

 


英国政府:Government support package for universities and students


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
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大学・研究機関の基本的役割 教育、研究
その他 その他