【ニュース・イギリス】COVID-19からの教訓:デジタル技術を最大限に利用

 
2021年11月29日、英国大学協会(UUK)は新しく報告書を発表し、COVID-19 からの教訓として、学生の要望に最も適したコースを提供するため、対面学習とデジタル技術を活用することを結論として述べた。

 
大学職員や学生との協議から、UUK は高等教育機関間で共有でき、イノベーションを促進し、質の高い教育を行い、全てのコースにおいてさらなる柔軟性を発揮するための方法を特定した。

 
この報告書ではキャンパスの閉鎖の前後に収集されたデータも考慮している。驚くべき内容として、男女間の成績の格差が縮小されたこと、白人と黒人の差、障害のある学生とそうでない学生の差が縮小されたことがある。これはデジタル技術によって参加が容易になったためと考えられる。

 
その他報告書の中にある COVID-19 の結果における変化の良い点として:

  • 大学はソーシャルメディアやEメールなどを効果的に利用することで、学生組合と効率的に協力し、印刷物、掲示板、口コミに頼ることなく学生との交流を行った。
  •  

  • オンライン教育により、職員や学生はデジタルに関しての技術が向上し、政府の成長計画である「Build Back Better」に貢献した。
  •  

  • デジタル基盤を利用する機会が増加したため、サポートサービスの拡大を行った。勉強方法や福利に関する講義では、人数制限をする必要がなくなり、オンラインキャリアイベントでも学生は様々な産業や専門家との関わる機会を持つことができた。
  •  

  • 学生はオンラインテストに関して肯定的であった。小テストや電子ポートフォリオ(デジタル化した成績表)の試みがその例である。University of Birkbeck、University of London での調査では59%の回答者が将来はすべての試験をオンラインまたは遠隔で行うことを希望している。
  •  

  • 大学はオンライン教育や会議ソフトを通じて地域的、国内的、国際的な講演者やネットワークのつながりを強化した。The Royal College of Music ではライブストリーミングを利用し、世界中の聴衆に対して学生が演奏することを可能にした。

報告書では COVID-19 からの教訓として、大学や学生がどのように次のステップに進むかも考察している。

 
大学では対面授業が多く再開されており、デジタル技術がどのように補助をするか検討する良い機会となっている。その方法の一例として、一つは学生が自分の好きな時間にアクセスができるオンライン学習を補助的とするブレンド学習や、対面授業とオンライン授業を同時に実施するハイブリッド学習がある。

 
大学と学生は「講義」、「教育」、「試験」などの定義に関して再考し始めている。講義は1時間一方的なプレゼンをする形式に限定する必要はない。例えば、学生が遠隔でインターンを経験できるデジタル・インターシップや、様々な雇用者と学生が面会する機会を増やすキャリアイベントなど、学生サービスはオンライン上で改善及び拡大するかもしれない。

 
高等教育機関では学生間や学生と職員との間のつながりを再構築する方法を模索している。 University of St Andrew では、2,000人以上の学生がバーチャルサイトにアクセスし、様々な催しに参加し、150以上のライブイベントを経験したり、自分の技術を高め友人を見つけたりしている。

 
UUK の報告書では将来、大学が直面する課題を克服するには、学生と密接に協力する必要があると述べている。このことは、すべての学生がコンピューターを利用し、インターネットに接続できるようにするための、デジタル貧困者に対する取り組み、障害のある学生に対してスクリーンリーダー(テキストデータを音声データして読み上げるソフト)や読みやすいフォントの使用などオンラインの機能を提供すること、オンラインコースは合意されている評価方法に則っているかの確認、盗作からの保護、オンラインやデジタル学習のための将来への資金確保などが含まれている。
 
UUK:「Lessons from the pandemic: making the most of technologies in teaching」

 


英国大学協会(UUK): Lessons from the pandemic: making the most of digital technologies


地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育