【ニュース・イギリス】知的財産や研究による収入源を確保している大学は少ない

 
2021年11月2日 University Business はリサーチ・イングランド(RE)の報告書で、研究から派生し大きな収入を得ている大学はほんの一握りで
あることを発表したことを伝えた。REの知識交換(KE) に関する報告書では、COVID-19の影響で前年より成長率は小さくなっているにもかかわらず、
大学研究の財政的価値は引き続き増加している
ことが分かった。

 
しかし研究集約型の大学の中でもほんの一握りの大学が、研究より派生したビジネスによる知的財産(IP)収入の大学ランキングを独占し続けている
ことが強調された。これはREが昨年6月に発表した、高等教育統計局(HESA)の Higher Education Business and Community Interaction (HE-BCI) 2019/20 の調査から分析したものである。

 
昨年の英国大学の総合的なIPによる収入額は新記録を達成し、5年前に比べてその価値をおよそ倍にした。KE の総合収入額は前年度に比べて、1億
5200万ポンド(3.1%)増加したが、過去2年間の数字(7.6%と6.9%)と比較すると、過去12か月間はその成長率は半減した。RE はこの低下は
「COVID-19 の影響を考慮すると深刻な影響はない。」と結論付けている。

 
IP は収入の当たり年であった2018/2019年度(前年度より45%増加)と比べて1.6%成長している。この成長率の小ささは、研究から派生した
ビジネスの株の売却が減ったことが原因
である。この分野は一握りの大学が総額の大部分を占めているため University of Cambridge と University
of Oxford の IP の減少が大学機関全体の平均値を下げてしまう
ほど顕著なものであった。Imperial College London、 University of Surrey および
University College London ではそれぞれ1100%、4800%、103%と収入を大幅に伸ばし、オックスブリッジの穴埋めをした。

 
RE の報告書では国内の研究収入の不均等な状況を強調している。University of Oxford、 Cancer Research、University of Sheffield、University College London、Imperial College London および University of Cambridge のわずか6つの機関が全体の80%を占めている。

 
研究機関による特許申請で許可が出た総数は15%増加し、累計での特許ポートフォリオは9.1%増加、過去5年間の学事年度でもっともその率が増加
したことになる。また報告書では University of Oxford、University of Cambridge、University of Manchester、King’s College London、Imperial
College London、University College London の6つの機関で2019/2020年度の特許取得の67%を占めており、2018/2019年度の58%から増加している。

 
しかし、RE は楽観的で、特許取得数0という機関の割合は多少減り、62%から59%になり、6から15の特許を取得した機関の割合は5%から10%に増加
したと述べた。

 
また報告書ではウエールズと北アイルランドの Cardiff University と Queen’s University Belfast は それぞれの国のIP収入と研究から派生したビジネスのほぼすべてを占めている ことを指摘している。米国と英国の高等教育機関のIPの実績比較表では英国の高等教育機関ははるかに不均等 であることがわかった。同報告書では「2019/2020年度では英国のIP の収入の74%は6つの機関からであるのに対して、米国の最も規模が大きい6つの機関の IP 収入は39%に過ぎない」と指摘している。

 

RE-P-2021-03 November 2021:An Update on IP-Related and Commercialisation Activities in England in 2019/20.

 


University Business: Small number of universities dominate IP and spin-out rankings, Research England observes


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 研究
社会との交流、産学官連携 産学官連携