【ニュース・イギリス】高等教育における芸術分野への資金提供に実際何が起こっているのか?

 
2021年5月6日、学生局(OfS)は、イングランドの高等教育における芸術分野への資金を削減する提案に関して、最近ニュースやソーシャルメディア
での議論(※)が行われていることについての見解を発表した。

 
OfS は、これらの報道がいくつかの懸念を引き起こしていると理解している。しかしながら、一部の議論では、誇張されて述べられている可能性が
あり、提案された変更の範囲を明確にすることは重要である。

 
何が起こっているのか?

 
一部報道によると、OfS が、芸術課程の学生に対するすべての資金の50%削減を提案しているような記載があるが、これは事実誤認である。大学やカレッジは
当該課程の学生の授業料ローン全額(上限9,250ポンド)を受け取り続ける。

 
提案されている削減は、現在大学やカレッジが、教育コストの高い科目を提供する手助けをするために OfS から提供されているかなり小さい補助金に関する
ものである。芸術科目のために、この補助金は現在フルタイムの学生一人当たり年間およそ243ポンド配分している。これは大学やカレッジに配分
されており、直接学生に配分されていない。提案では、この補助金が、授業料及び OfS からの資金を合わせたおよそ1%の削減に相当する、学生一人
当たり年間50%となる121.50ポンドまで削減されるとしている。これには、恵まれない環境の学生を支援するために大学やカレッジに配分している
追加の割増分などの他の資金制度は含まれておらず、OfS はそれらを維持する予定である。

 
これと並行して、OfS は専門機関に対する資金を4,300万ポンドから5,300万ポンドに増額することを計画している。当該資金制度は、演劇学校、音楽
学校、美術学校及び音楽カレッジを含む世界トップレベルの幅広い芸術機関に直接恩恵をもたらす。

 
なぜこれらの変更を行うのか?

 
OfS には、中央政府によって毎年決められる一定かつ限られた予算が配分される。当該予算は、医学及び看護学の学位に対する追加の資金提供、恵まれ
ない環境の学生への支援及び学生のメンタルヘルスを支援する取組など数々の活動を支援するために使われる。コストが高い課程に追加の資金を配分
する方法の調整は、OfS が変更を検討しているうちの一つである。

 
学生数の大幅な増加、特により教育コストがかさむ課程での増加が予想されていることから、今後数年間で予算をさらに伸ばす必要がある(今年すで
に看護学及び医学の課程への出願の大幅な増加を目の当たりにしている。)。政府は、OfS へのガイダンスにおいて、科学者、エンジニア、医師や
歯科医師、看護師や助産師といった専門職人材の不足及び STEM やヘルスケア科目への支援の重要性を強調している。これに関連して、制約された
予算にどのように優先順位をつけるか難しい決断をする必要がある。

 
次に起こることは?

 
OfS は、3月からこれらの提案に関する協議を行っている。すべての人がこの協議に対応する機会を持っており、最終決断をする前にすべての回答
を検討する。

 
※参考記事(The Art Newspaper):
Uproar as UK government plans to cut funding for arts education by 50% to prioritise ‘high-value subjects’

 


学生局(OfS): What is really going on with arts funding in higher education?


地域 西欧
イギリス
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