【ニュース・イギリス】英国の大学、EUからの将来の留学生についての対策を検討(2)

 
ブリティッシュカウンシルは以前、「出願プロセス、授業料、出願要件に関する誤解は、学生に出願を思いとどまらせる可能性がある。」と警告
している。

 
「パンデミック以前の2019/20学事年度、ラッセルグループ(Russell Group)(※1)は、英国のおよそ15万人のEUからの留学生の最大のシェア
を誇っていた。さらに一部の1992年以降に新たに設立された新大学(Post-1992 universities(※2))は極めて良かった。

 
以前、スコットランドの大学との資金に関する取り決めは、EUからの留学生はスコットランドで授業料を徴収されないことを意味し、英国の他の
地域での学生ローンへのアクセスは、重要なセールスポイントだった。またEUからの留学生は、医療を受ける権利や働く権利があることに加えて、
ビザを取得する必要なくして受けることができる英国の質の高い教育に魅力を感じていた。」とSmith上級国際担当職員は述べた。

 
当該イベントの他の登壇者は、スコットランドの大学が、以前、学生を募集することに集中せず、入学してくるEU からの留学生を待っていたため、
EU からの留学生募集の市場の他の英国のカウンターパートに遅れを取っていると指摘した。

 
スコットランドからの視点に加え、グラスゴー大学の Ian Thomson 国際関係担当部長は、彼のチームは、EU をスコットランド政府の奨学金制度
である「Saltire Scholarship scheme」(※3)に入れようとスコットランド政府に働きかけていたが失敗に終わったと述べた。

 
さらに「発表は行われなかったし依然として行われていない。それは5月6日の選挙の後まで延期されている。つまり、我々が完全に間違った思い込み
をし、EUからの留学生の減少を相殺するために実行されるべき何かが行われていないということをどのように知ることができるかを示す完璧な例が
ある。」と彼は述べた。

 
ドイツ、フランス、ギリシャ及びポーランドの学生を対象としたブリティッシュカウンシルのさらなる調査は、ブレグジットへの学生感情に関して
複雑な状況を提言しているとCaspary氏は付け加え、「昨年より否定的であったドイツとフランスの態度が少し柔らかくなっている。一方で、ギリシャ
とポーランドについては態度が硬くなっており、彼らは今、より否定的になっている。

 
2月に行った入学希望者との意見交換会では特にギリシャとポーランドにおいて、学生が今英国に留学するには、費用が増え、実際に非常に大きな犠牲
を払うことになるだろうという認識があり、これが関係している可能性が非常に高いと考えている。その一方で1年前はその現実は始まっていなかった
ので、おそらくより感傷的なものだった。

 
さらに意見交換会を通じて学生は、費用への懸念と同様に、雇用機会を把握したいという考えについても示した。英国の学位は雇用価値という観点から
非常に高く評価されている。学位を取得した後、彼らは本当に英国でどのような雇用機会が与えられるのか把握したいと考えている。

 
留学生が大学卒業後、数年間の英国での就業を可能にする Graduate Route や出入国管理制度の変更について、もし我々がうまく学生に伝えることが
できれば EU の留学生にとって本当に有益になると思う。」と述べた。

 
「ブレグジットの周りには悲観的な先行きを示す要素がある。我々の中にはEUから離脱したくなかった人もいるかもしれないし、我々の学生募集活動の
ようにはっきりと表に現われるその数についての大きな影響を意識している人もいる。しかし良い点は、我々が把握できるものであるということである。

 
これは我々が、これらの市場を形成し、情報を使い、いかに我々自身を正確に位置付けられるか、我々のオファーがこれらの市場にあらゆる点で必要と
されるものであること確認するかを注意深く考える良い機会である。」とノーザンブリア大学の Robert Carthy国際部長 は述べた。

 
※1 ラッセルグループ(Russell Group):ラッセルグループは、英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。

 
※2  Post-1992 universities:英国では1992年の継続・高等教育法(Further and Higher Education Act 1992)の制定により、これまでいわゆる
   大学セクターと非大学セクター(ポリテクニック等)の2つに分かれていた高等教育機関について、一定の基準を満たす後者に大学としての
   法人格と学位授与権を付与し、これまでの所掌であった地方教育当局から独立させ、国全体の高等教育政策の一元化を図るとともに、一定の
   要件を満たす後者に学位授与権を認めることとした。この設立経緯の違いから、英国では1992年以前からある伝統的な大学をPre-1992
   universities (old universities)、1992年以降に新たに設立された大学をPost-1992 universities (new universities)と呼んでいる。

 
※3  Saltire Scholarship scheme:スコットランド政府がスコットランドの大学と協力して提供する奨学金のプログラム。カナダ、中国(香港を
   含む)、インド、日本、パキスタン及び米国の国民が対象となっている。Scotland’s Saltire Scholarships

 


The Pie News: UK unis consider future EU student recruitment


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イギリス
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