【ニュース・イギリス】教育省(DfE)、大学生のキャンパスへの完全復帰は5月17日以降と発表

 
2021年4月13日、University Business は、教育省(DfE)が、すべての大学生がキャンパスに完全に復帰し、対面授業が行われるのは5月17日
以降になると発表したと報道した。

 
当該タイミングは、政府のロードマップの社会的接触や屋内における交流についてのコロナ禍の制限のステップ 3 とも合致し、最新のデータや
ステップ 2 の影響をレビューする4つの鍵となるテストによって決定される。

 
高等教育機関は、4月12日時点でのキャンパスへの完全復帰を望んでいたため、高等教育セクターと政府の学生に関する当該計画についての
コミュニケーション不足に批判が広まっている。

 
イングランドの140大学を代表する英国大学協会(UUK)は、政府に対し、今回の決定に至った経緯について早急の説明を求めた。UUK は半数の
学生(およそ100万人の学生)が対面授業にアクセスできないと想定している。

 
政府はまた、検査数を増加させるとともにウイルス感染の制限の手助けとなる新たな家庭内検査キットを、夏学期を通して学生に提供すること
も発表した。

 
さらに、完全復帰する学生とスタッフは、キャンパス内の無症状者対象の検査サイトが利用可能な場合は、3回の検査(3~5日間隔)を受ける
ことが推奨されている。

 
すべての検査は無料で、LFD(Lateral flow device)検査において陽性とされたすべての学生とスタッフは、2日以内にPCR(Polymerase Chain
Reaction)検査において陰性でない限り、10日間の自己隔離が必要とされる。

 
Michelle Donelan 大学大臣は、政府が今学期に追加で1,500万ポンドの困窮している学生への資金を措置することを発表した。前年と比べ1,600万
ポンド低い予算であるが、政府は前会計年度の間に、困窮する学生に7,000万ポンドを投資した。

 
様々な研究及び調査によると、多くの学生が学期中の住所に居住している。高等教育政策研究所(Hepi)が行った調査によると、3分の2の学生(66%)が彼らの通常の学期中の学生寮等に居住しており、そうでない学生は34%であった。
国家統計局(ONS)のイングランドを対象とした2月19日から3月1日の統計によると、85%の学生が2020年の秋学期の開始時と同じ住所に居住
していた。

 
学生寮関連の慈善団体であるUnipol の調査によると、現在、約60%の民間の学生寮(PBSA)と約70%の多人数用住居(HMOs)が入居済みと
なっていることがわかった。Donelan 大学大臣は、大学は、メンタルヘルスもしくは健康上の理由で戻ってくる学生にいくらかの手当を与える
ことができると述べた。

 
「不適切な学習スペース、及び/もしくは、メンタルヘルス及び健康上の問題を持っているような学生などの一部の学生は、彼らの教育がまだ
オンラインであるにもかかわらず、彼らの学期中の住所に戻る必要があるかもしれないという我々のアドバイスは維持されている。我々は、
高等教育プロバイダーに、対面の教育及び学習を再開する学生と同時に、学期中の学生寮等に戻ってくる学生の支援のために施設を開けること
を検討するよう求めている。」と Donelan 大学大臣は述べた。

 
高等教育セクターからの様々な反応

 
UUK は、当該発表には大いに失望させられたと述べた。UUK の Julia Buckingham 会長は、「学事年度の重要な時に多くの学生が対面の教育
と支援を否定されるだろう。学生は復帰したくてたまらない。」と述べ、政府自身がメンタルヘルスと健康面において、対面での教育の重要性
に言及したと付け加えた。

 
さらに「大学では、安全な対策が導入されていることが証明されている。学校、カレッジそして多くの企業が開校等を行っている中、大学が、
学生とコミュニケーションを取り合い、5月17日からの対面による活動の機会を最大限にするために準備し続けるために、我々は政府に今回の
決定に至った経緯について早急に説明してもらう必要がある。」と述べた。

 
英国学生連合(NUS)は、政府は、当該遅延はイライラさせると言い表したが、彼ら自身が作った情報の空白部分を埋め始めたと述べた。

 
NUS の Hillary Gyebi-Ababio 副会長(高等教育担当)は、「信じられないほど最後のぎりぎりの段階の本日の発表により、少なくとも学生は
学習及び学生寮等にアクセスするために必要な手配をすることができる。しかしながら、ほぼ1年分の中断の後、今学期に残された時間で成功
するための適切な支援を学生に保証するためになされるべきことはまだたくさんある。

 
NUS は多くの学生がメンタルヘルス、財政的困難もしくは学習機会の喪失に苦労していることを懸念している。」と述べた。彼女は、大家や
学生寮等の施設提供者の略奪行為を止めさせ、早急に必要な救済を学生に提供するため、大臣に高等教育セクターと協力するように求めた。

 
彼女は困窮する学生のための1,500万ポンドの追加支援を歓迎したが、最も困窮している学生のために生活費全般を支援するための返還義務
のない資金の再導入を呼びかけた。

 
大学組合(UCU) の Jo Grady 書記長は、「5月17日は時期尚早であり、おそらく達成不可能だろう。大臣は今、スタッフや学生に正直になり、
ほとんどの課程が9月までオンラインでの学習にとどまることを確認する必要がある。それこそUCUが求めていることだ。多くの学生の試験が
すでに終わっているため、5月中旬に対面での活動を再開することはまったく意味がない。」と述べた。

 


University Business: Students to return ‘no earlier than 17 May’, confirms DfE


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
大学・研究機関の基本的役割 教育
その他 その他