2021年3月11日、UK リサーチ・イノベーション(UKRI)は、英国の高等教育機関、研究所、企業に、2021/22会計年度のすべての政府開発援助(ODA)資金を見直すことの必要性をしたためた書簡を送付したと発表した。
書簡の主な内容等は以下のとおり。
周知の通り、コロナ禍とそれに起因する経済への影響の結果、英国は厳しい財政難に直面している。これを受け、ODA に使用可能な資金を削減する
ことを決定している。これは ODA プログラムのもと、我々が資金提供をしている事業に重大な影響を与えることになる。
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の UKRI への ODA の配分は1億2,500万ポンドとなり、資金取得者への実際の配分額と計画額との間
に1億2,000万ポンドのギャップをもたらし、2021/22会計年度に計画されている ODA 支出を著しく削減させることになった。
Innovate UK を含む我々のリサーチカウンシル内の Global Challenge Research Fund (GCRF)、Newton Fund 及びその他のODA資金により、
資金が配分される個々の資金へのこの見直しの最終的な影響を詳細に述べるのは時期尚早である。
我々は、数週間のうちに直接機関にフォローアップを行い、特別の配慮が必要となる事案についてさらなるガイダンスを提供することになるだろう。
【関係機関の反応】
英国大学協会(UUK)
「ODA 資金は、英国の研究者が彼ら自身のキャリアを進展させ、地域コミュニティとそのより広い経済の連鎖的な恩恵を生み出す機会を提供する
一方で、大学が世界的なネットワークを強化すること及び世界中の数百万もの人々の生活を向上させることを可能にしている。
このような会計年度の遅い段階でこの規模での削減を課すという政府の決定は、多くの大学を難しい決定に直面させるとともに、国際的なパートナー
と共同研究を行う能力を下げ、世界で最も急を要する課題に立ち向かう英国の役割を制約することになるだろう。
この決定は、英国を科学超大国として位置付けるために研究開発への投資を増加するという公にされた政府のコミットメントに逆行していると
ともに、ODA 資金によるプロジェクトを含む、大学が行っているコロナ禍を通して国を支援するために非常に大きな貢献をしてきたという観点から
特に失望させている。
我々は今、英国政府に、2027年までに研究開発費への投資を GDP 比2.4%に伸ばすという政府のコミットメントを再確認する必要がある。国際共同
研究へのさらなる支援は、科学超大国としての英国の地位を維持するために極めて重要になるだろう。」とのコメントを発表した。
英国大学協会(UUK):Universities UK(2021年3月12日)
ラッセルグループ ※
「Global Challenge Research Fund 及び Newton Fund の削減は、開発と研究において世界のリーダーとしての英国の地位を支えるとともに、
発展途上国が直面している急を要する課題への取り組みを支援することで、長年にわたって英国の科学外交の重要な目的達成手段として成功して
きたプログラムを縮小させることになるだろう。
これらの資金は、ラッセルグループの大学が、彼らのワールドクラスの知識とイノベーション能力を、健康状態の改善、新たな技術の開発そして
気候変動と貧困問題に取り組む他の国々への支援に集中させ、全世界のパートナーと連携することを可能にしている。」とのコメントを発表した。
ラッセルグループ(Russell Group): Russell Group response to proposed cuts to UK global research funding(2021年3月15日)
※ラッセルグループは、英国国内で最高水準の研究レベルを持つ24大学で構成される団体。
書簡原文: UKRI Official Development Assistance letter 11 March 2021
学生局(OfS): Students more confident with online learning than lecturers are about teaching digitally
UK リサーチ・イノベーション(UKRI):UKRI required to review Official Development Assistance funding
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