【ニュース・イギリス】ブレグジット後のEUからの留学生の需要分析

 
2021年2月8日、教育省(DfE)は、様々な観点からブレグジット後のEUからの留学生の需要を分析した報告書「EU exit: estimating the impact
on UK higher education」を発表した。

 
当該報告書は、DfE から委託を受けた London Economics によってとりまとめられており、具体的には以下の点について分析を行っている。

 

  • 学部・大学院レベルの留学生の入学者数における授業料の水準の変更に係る影響
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  • 以下によって生じるEUからの留学生の入学者数及び関連する授業料収入への潜在的な影響
    ・EUからの留学生に対する授業料のローン等の廃止
    ・EUからの留学生とEU圏外からの留学生に課された授業料の調和
    ・EUからの留学生が卒業後に英国で働ける権利の変更
    ・扶養家族を連れてくる権利の変更

分析の結果、すべての高等教育機関に対し、以下の点を示唆している。

  • EU からの学部への留学生に対する授業料支援の廃止により、英国の高等教育への需要は、初年度の学生において年間およそ13,090人
    (すべてのEUからの留学生の入学者数の21%)減少する。これは8,070万ポンドの授業料収入の損失に相当する。
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  • EU からの留学生(学部生及び大学院生)に対する英国籍の学生と同様の待遇を廃止することによって、追加の収入がおよそ1億1,460万
    ポンド生み出される。すなわち、EUからの留学生に課す授業料の値上げは、EU からの留学生の需要の減少(15,220人、2016/17学事
    年度の EUからの留学生の入学者数の24%)による収入の損失を十二分に相殺する。
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  • EU からの留学生に対する卒業後に英国で働く権利の制限により、潜在的に6,640人(EUからの留学生の入学者数の11%)少なくなる。
    これは英国の高等教育機関により生み出される8,800万ポンドの授業料収入の減少に相当する。
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  • EU からの留学生に対する扶養家族を連れてくる権利の制限により、さらに入学者が590人(EUからの留学生の入学者数の1%)少なく
    なり、およそ840万ポンドの授業料収入が減少する。
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  • まとめると、これらの政策すべてが変更された場合の統合的な影響を想定すると、35,540人(57%)、EUからの初年度の入学生が少なく
    なり、およそ6,250万ポンドの EU ソースからの授業料収入の減少になる。しかしながら、総体的な授業料収入への影響は、大学クラス
    ター※(及び学部・大学院などの修学レベル)により、著しい変動を覆い隠す。特に、クラスター1の高等教育機関は全体として利益を得る
    一方で、クラスター2、3及び4の機関では一層悪化する。

入学者数の結果は、需要の減少は34,555人(55%)から35,750人(57%)まで、財政の総損失は4,250万ポンドから6,650万ポンドまでの幅がある。

 
※ Vikki Boliver が ‘Are there distinctive clusters of higher and lower status universities in the UK?’ において、大学の研究活動、教育の質、
  経済的資源などに着目して英国の大学を4つのクラスターに分類しており、London Economics はこの分類をもとに分析している。

 


教育省(DfE): Estimating the impact of EU exit on UK higher education


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