【ニュース・イギリス】科学大臣、英国のホライズン・ヨーロッパの代替案は「より長く、より良い資金提供」

 
2022年6月10日、Research professional News は英国が 欧州研究会議(ERC)のホライズン・ヨーロッパへの参加ができない場合の緊急対応策の概要を発表したことを伝えた。

 
George Freeman 科学大臣は、ブラッセルで、北アイルランドの議定書をめぐる政治闘争のために保留となっている955億ユーロ(805億ポンド)の研究開発プログラムの英国参加の最終交渉を行った。

 
6月8日、Freeman 氏は EU の関係者に対して、もしこの夏に英国-EU間の交渉に進歩がない場合、諦めて次の段階に移行しなければならないため、研究者に対して「何らかの代替解決案」を提示することを明らかにした。

 
Freeman 氏によると緊急対応策は、世界クラスのフェローシップ、産業とイノベーションの焦点、グローバルな共同研究の3つの柱から構成しているという。

 
グローバルな人材プログラム

 
Freeman 氏は最初の柱は「一連の主力となる研究支援を伴うグローバルな人材プログラムで、EU の名誉ある ERC 助成金と比べてより長く、より良い資金提供を行うものである」と説明した。

 
これは「研修者から聞き伺った ERC の制度の中で不満とされた全てのことに対応する機会」であると述べた。

 
「ヨーロッパの研究ネットワークの人脈を取り入れ、ヨーロッパの研究者がこれを利用し世界に展開する機会を与えるグローバルなフェローシップになることを希望している。」と述べ、「人文科学や収束的で学際的な科学を越えた深く、幅広いフェローシップとなることを希望する。」と付け加えた。

 
「このフェローシップは、迅速で取得が容易なビザも準備されるであろう。」

 
「優先的なビザとし、家族に対する支援も行い、より簡単かつより柔軟性のあるものを考えている。」と Freeman 氏は述べた。

 
産業とグローバルチャレンジの柱

 
第2の柱は、産業界と共同出資を行い、「イノベーションと産業を一本化する」ことで「産業界の大きな課題」に取り組むことを可能にし、「英国がすでに取り組んでいる伝統的な官僚主義からの解放を促す一連のプログラム」になるであろうと Freeman 氏は述べた。

 
最後に、第3の柱は気候変動や抗菌性などの世界的な課題に焦点を当て、ホライズン・ヨーロッパにおける第3国参加に大きく貢献するものである。

 
重要なことに Freeman 氏は「この研究を担う次世代の主要なインフラを支援するためにも、インフラの重要な部分を整備している。」と述べた。

 
スケジュールとして、今年はホライズン・ヨーロッパの助成金として英国が保証を実現することに重点を置いて、今後2年間かけて「広域的なグローバルパートナーシップを発展させ、開発に努めることになる。」と述べた。

 
ヨーロッパ原子力共同体とコペルニクス

 
ヨーロッパ原子力共同体(EURATOM) の原子力プログラムについて、もし英国がこの計画から外されたら、「どうするか検討中である」と述べている。

 
「私たちは、国際熱核融合実験炉:イーター(ITER) のメンバーとしてあり続けたいが、もしそうでない場合、他のパートナー国とともに核融合計画を国際的に展開することを検討する必要がある。」と述べた。

 
宇宙観測プログラム「コペルニクス」については、「欧州宇宙機構(ESA)に既に4億ユーロを出資している。もし我々が英国を通して他の国際的なパートナーと提携して地球観測を行う場合、その計画を立てている。」と述べた。

 
その他 Freeman 氏は演説の中で EU 当局者たちに対して「科学を利用した強硬手段を取る」ことをしないように訴えた。

 
「英国を罰しなければならないなら、別の方法でやるべきである。これは自滅的行為で自身の損害でもある。また、世界の安全保障にも損害となる。この部屋にいるすべての者及びその先にいる多くの人に損害を与えることになるであろう。」と述べた。


Research professional News: UK ERC alternative will be ‘longer and better funded’, says Freeman


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