【ニュース・イギリス】 高等教育大臣、新しい学生支援の指導者を任命

 
2022年6月9日、University Business は高等教育大臣が新しいメンタルヘルス戦略の先頭に立つ大学学長を任命するなど、「学生を中心」とする改革を進めていることを伝えた。

 
高等・継続教育大臣である Michelle Donelan 氏は政府資金による「学生支援指導者」の職を設けたことを発表した。これは学生の支援と関与を目的とし、主導するものである。

 
Donelan 氏は、Nottingham Trent University の学長である Edward Peck 教授を「学生を第一番に考えることを体現する」ことになる新しい職務に任命した。

 
2年任期のこの職務は勉強やメンタルヘルスで悩む学生を特定するための新しい取組を推進し、退学率の低下を目標とする。

 
Donelan 氏は6月9日の 高等教育政策研究所(HEPI)の年次会の演説で発表した。HEPI と Advance HE による学生学術経験意識調査では、高等教育機関を辞める学生の一番の理由は、メンタルヘルスであることが分かった。

 
「高等教育機関においてきちんと措置をしたいという強い意志がある。私は効果的かつ、エビデンスを基にした最良な実践例を高等教育機関で促進し、大学が学生を引き付けるために可能な限り幅広い方法を提供できるようにしたい。」と Peck 教授は述べた。

 
昨年、政府は英国の大学に対して、今後5年以内に 大学メンタルヘルス趣意書 の推奨内容を採択するように求めた。

 
Donelan 氏は、学位基準、最低入学条件、学生数の制限に関する自身の政策の特徴付けに対して反論したという。また「誰でも自身の出身に関係なく世界有数の機関で学位取得ができる」実力主義教育制度の構築を目指していることも述べた。

 
もし、英国が社会流動性を活発にし、スキル格差を削減するのであれば、「質というものが重要となる」と述べ、「質」とは、高等教育の経験において「卒業後の就職や研究に携わることを可能にする」雇用可能性のスキルであり、「給与という狭い定義」を示しているのではないと Donelan 氏は述べた。

 
学生局(OfE) が集めたデータで、「25の高等教育機関において学位課程に入学し、半数以下がその学位を修了すると期待できる」という部分を引用し、Donelan 氏は「質の低い大学を特定し、改善を求めることは反大学的なことではない」と述べた。

 
「Michael Gove 氏(10年前当時教育大臣だった人物)が10年前に観察したように、世界クラスの公共サービスは、自治と説明責任の組み合わせによって成り立っている。」と続けた。

 
5月、政府は技術教育を提供する継続カレッジとの新しい教育パートナーシップを築くため Open University に1,000万ポンドの出資を発表した。この政策に続いて「新高等技術教育スキル投入基金」が発表され、継続教育と高等教育機関が技術教育に投資するために3,200万ポンドを提供する。

 
Ringfenced Strategic Priorities Grant の資金は、レベル4とレベル5の教育の投資額の差を埋めるためものであると Donelan 氏は自身の戦略に関して述べた。

 
Donelan 氏は「高等教育は何のためにあるのかという核心の質問」に対し「我々の回答の中心に学生」を置いたと述べた。学生財政による入学最低条件は、全ての人が大学に行くことを禁止することや、低質のコースの学生数の制限や高等教育に行く総数を制限することではない。

 
「私の見解では、我々は(大学進学者)を増やすべきとか、減らすべきかという論議に多くの時間を費やしすぎた。もっと、全ての若者は大学、カレッジ、技術訓練制度の利用など多くの選択肢を持ち、それらの選択肢全てが良質であるようにすることに注力するべきである。」

 
「この新しい方法はまだ大学に行く準備ができていない学生を無理やり大学に入れるという古い政策を覆すことになる。」と述べた。


University Business: Donelan announces new student support champion


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