【ニュース・イギリス】研究員がUKRIに高等教育文化の変革を要望

 
2022年5月10日、University Business は115人の Future Leaders Fellowship の特別研究員が UK リサーチ・イノベーション(UKRI)の最高責任者と議長に当てた公開書簡で学術界の働き方改革が急務であることを強調した。

 
UKRI の Future Leaders Fellowship に受理された100人以上の研究者は、国の資金調達団体に対して書簡で、「ますます魅力的でない状況が増えていくことに直面している」ことで研究界を去ることを警告した。

 
書簡に署名した115人は UKRI が創設した、研究とイノベーションの次世代のリーダーの育成を目的とした Future Leaders Fellowship の資金提供を受けている。

 
研究員たちは UKRI に対し、「実質的に給与や年金の減少、仕事量、雇用不安の増加、研究界における平等性の欠如」などがキャリアに悪影響となり、優秀な研究者が英国を離れることを警告した。

 
公開書簡では、数十億ポンドの資金提供機関に対して「その地位を活用して」行動に移すように求めている。

 
「皆さんが我々のようなキャリアに多くを投資してくれたように、我々は英国内で研究のキャリアの道を築くことに熱心に投資している。我々は英国の研究文化の大幅な改善、そして世界的な研究の中で英国が主導権を取り、英国の高等教育においてのキャリアを心底から推薦することができることを望んでいる。」と署名者は UKRI の最高責任者である Dame Ottoline Leyer 教授と議長の Andrew Mackenzie 卿に訴えた。

 
この回答として UKRI は「我々の責任を果たすため必死の努力している」、変化の必要は「至急」であることを認めている。

 
UKRI を代表して Ottoline 教授は、「我々は常に物事を正しく行い、理解しているわけではないが、変革の歩みが遅いことで不満を抱いていることに関しては共感する。」と回答している。

 
署名者は「機関の上層部に深く根付いている見解の改革」はますます助けを得られないという感情が増してきているという。その原因は「査定基準中心の評価」、「狭い管理目標」、「短期の資金」などを含む研究と資金調達の仕組みが「過度の差別的な燃え尽き症候群の文化」を永続させていると非難している。

 
「解決されることがなく、長期化するストライキ」による高等教育の「評判の悪化」は研究者を「がっかり」させている。

 
公開書簡では UKRI に対して、不十分な雇用条件を推進する資金を改革し、大学と協力し公平な給与と年金制度の解決に努めることを求めている。また研究職員の支援に関して約束を守らない大学に対して制裁を取るように求めている。

 
Future Leaders の研究者に宛てた書簡で Ottoline 氏は 「現在我々が直面している問題は間違いなく1つの問題を目的として特定の変更の積み重ねから始まっている。」と自身の見解を示し、「深い文化の変革」や「組織的」な解決法が必要である。と付け加えた。

 
Ottoline 氏は UKRI は公的研究資金の構造のバランスをとり、「その仕事内容に適したバランス」を可能とする方法を模索すると述べた。

 
Ottoline 氏は UKRI が組織的にもっと公平で時間の無駄にならないためにも、ダブル・ブラインド・ピアレビュー*と2段階の時差のある申請方法を指摘した。

 
職場文化に関しての対処として Ottoline 氏は、大学の研究慣習の改善を追求するための資金としてUKRIから3,000万ポンド資金を出すことを指摘した。英国中の資金提供機関が主導し、Peter Gluckman 卿が議長を務める Future Research Assessment Programme (FRAP)は、「健全で成功する研究システムとはどのようなものか」を追求する。FRAP が今年末に結論出す時、REF2021の評価とその他代替の評価方法の調査が行われることになる。

 
ダブル・ブラインド・ピアレビュー*:著者も査読者も誰だかわからない査読方法。シングル・ブラインド・ピアレビューは査読者のみ誰が著者かがわかるシステム 。

 


University Business: Fellows urge UKRI to change higher education culture


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組、大学等研究機関レベルでの取組
研究支援 研究助成・ファンディング