【ニュース・イギリス】エッセイ・ミルは学生の不正行為を誘い込む:専門家からの警告

 
2022年4月26日、Guardian 紙は大学の試験がオンライン化したことで学生が提出論文を代行サービスで購入していることが「常態化」されつつあることを伝えた。

 
エッセイ・ミル の販売業者が1論文購入すると1論文は無料、ポイント制、一般的なキャッシュ・バックの勧誘で学生が不正行為の動機付けとなると専門家が指摘した。

 
このような不正行為は、COVID-19 の影響で開始されたオンラインでの試験への移行により、学生が外部の助けを求めることが容易になり、またそのような行為が常態化していると、専門家は警告している。

 
また、ますます洗練されてきている人工知能による論文作ツールの普及が広がり、学生が成績を上げるため不正を犯す機会を増やしている現状を警告した。

 
政府は、エッセイ・ミルとその広告を禁止する法律を導入したが、専門家の間では、このよう業者は外国に拠点をおき、法律の圏外にあるため、起訴されることは全くないことを恐れている。当初はイングランドのみが対象であったが、ウェールズでも限定的に適応する。

 
26日に開催されたウエストミンスター高等教育フォーラムの仮想会議では、学生が発注した小論文や資料を販売しているエッセイ・ミルが、自分たちのサービスの市場拡大ために商品比較ウエブサイトを現在利用しているという。

 
University of Swansea の法務教育学の教授で、学術的な品行方正とカンニングの専門家である Michael Draper 教授は、「最後に数えたときには一つの商品比較サイトに1,000件以上のサイトがあり、毎月さらにそのサイト数が増えている。それは膨大な数である。」と述べている。

 
よくスーパーなどでみられる商業的な圧力の手法は学生に影響を与えている。例えばこれらのサイトでは1つ買えば1つは無料、ポイント制、キャッシュ・バックなどを用意している。
学生がこのようなサービスから手を引こうとしても、偽の法的文書を送付し、学生は脅迫の犠牲者となってしまう。これは「組織的な犯罪」であり、サハラ以南のアフリカにいる著作者は搾取の機会を与えているという報告もある。

 
Draper 教授は、「Coivd-19 によって学校教育が中断された学生で、高等教育への進学時は特に周りの環境に流れやすくなっている。学生はプレッシャーを感じるだけでなく、インポーサー症候群という報告を受けることが多くなってきている。そのような学生は、まだ高等教育の学習や試験に対する準備ができておらず、何かしらの対処が必要である。」と語った。

 
教授は、学生が無料のオンラインツールを使い、スペルや文法を確認しており、無意識に自身の貴重な小論文の内容を提供してしまい、他人が入手したり、販売したりすることも警告した。

 
また、自分の小論文を売って稼ごうという学生もいると Draper 教授は言う。「学生が直接ほかの学生に以前書いた小論文を販売するという「起業家的」な活動も目撃した。つまり学生はこのような常態化に便乗してしまっている。」

 
個々で受けるべき試験を学生が協力して回答しているという共謀は、ここ2年間で大変深刻な問題となっている。特に試験がオンラインに移行してからで、成績インフレの影響の一部を担っている可能性が高いと言われている。

 
英国高等教育の水準と質を確認している独立機関である英国高等教育質保証機構(QAA) の企業担当部長である Tom Yates 氏は、エッセイ・ミルに対する新しい法律を歓迎し、学生の存在に対して大きな変化が出てくるであろう。と述べている。

 
「本質的に、学生はエッセイ・ミルを利用することで、犯罪にかかわっていることを知ることになる。これまでにそのようなケースが存在したかわからないが、多くにとって誘惑は取り除けることになる。」と語った。

 


Guardian紙: Essay mills offering incentives to cheating students, experts warn


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イギリス
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