【ニュース・イギリス】英国元首相、高等教育に進学する若者の劇的な増加を求める

 
2022年4月18日、Guardian 紙は英国元首相の Tony Blair 氏が英国は日本やカナダのように高い革新的な経済に追い付くことを目指すべきであると述べたことを伝えた。

 
同氏は国の生産性の危機に取り組むため、今後20年間で高等教育(HE)に進学する若者の割合を劇的に増加することを呼びかけている。

 
発表された報告書において、前首相は2040年までに70%の若者が高等教育に進学し、次世代の経済成長を5%近くまで高める可能性を提言している。

 
Blair 氏の提言は、同氏の首相時代に政府が若者の50%を高等教育に進学させるというものに基づき、報告書は高等教育の価値に関して、「懐疑心が増している」ようにみると指摘しており、これは現政権への挑戦である。

 
Blair 氏の提言にある目標では、高等教育への進学率を世界の高革新的経済に伴って、2030年までには60%、2040年までには70%の割合にするというものである。

 
この目標では単に学校を出たばかりの学生を対象にするのではなく、高等教育に進学する30歳台以下も対象とする。大学は高等教育を提供している機関であるが、カレッジを含む他の機関でも高等教育を行っている。

 
この計画は、元高等教育担当大臣で現在の首相の弟でもある Jo Johnson 卿も賛成している。Tony Blair Institute から発表された報告書の序文に寄稿しているが、その中で「現在多くの欠員を埋めるための十分な高スキルの人材が不足している。」と述べている。

 
Johnson 卿はさらに、「我々は知識経済として成熟し続けることで、大学卒を不釣り合いに雇用する業界でより多くの雇用が生まれるであろう。韓国、日本、カナダのような高革新的経済である国はこれを理解しており、高等教育を強化し、大学進学率はすでに60%から70%である。ただ単に目先の課題にだけに留まっている余裕はなく、それらの国々に加わるべきである。」と述べた。

 
政府はイングランドで学生定員数の制限を再導入し、卒業生の収入と関連する可能性や、また、大学学部の最低入学条件を設定することを検討している。しかし、Blair 氏の報告書では、高等教育の参加を抑制することは「英国人は将来の経済に対して準備不足になってしまう。」と警告している。

 
1999年、当時首相であった Blair 氏は「次の世紀」では若者の高等教育参加率を50%にすることを公約とした。30歳までの若者のほぼ半分が初めて高等教育に進学した2017年にその計画は順調に進んでいた。Blair 氏の目標には高等ディプロマなど職業資格も含まれている。

 
高等教育政策研究所(HEPI) の所長である Nick Hillman のコメント:

 
「Blair 氏の述べていることは正しいと思う。彼の古い目標である50%はすでに達成しているので、他の国から遅れを取っていること、雇用者が声を大きくして高スキルの人材を求めていることを考慮すると、今もっと進めるべきであることは明らかである。」

 
教育省(DfE) の広報担当者のコメント:

 
「大学は教育システム内で重要な役割を担っているが、その方法がいつも個人や国に対して最も利益につながるやり方となるとは限らない。雇用者と国家の必要性に合う高質なスキルシステムのための構想は明確であり、また我々は学術ルートと同様に名誉があり、見返りが得られる質の高い職業および技術系の選択肢を確保する。」

 


Guardian紙: Tony Blair calls for drastic increase of young people in higher education


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