【ニュース・イギリス】新卒職の神話を覆す

 
2022年4月11日 、英国大学協会(UUK) は大学の新卒採用に関して新しい報告書を発表した。この報告書は、大学卒業生が多すぎる、大卒職が少ない、雇用者にとってあまり価値のない学位があるという誤解に対して取り組んでいるものである。その結果、英国の大学卒に対する雇用者からの需要は多く、前年比で増加しており、技術職不足が今後も続く可能性があることが明らかになった。

 
結果一覧

 
報告書の結果によると、現状は:

  • 英国で学位を持った労働者よりも100万件以上多くの専門職がある。
  • 英国の従業員の数は、資格が達していない従業員が、必要以上の能力を超えている従業員の数の2倍を上回る。
  • 大学新卒の求人は Covid-19 以前である2019年に比べて20%多くなっており、2021年に比べて、2022年は22%増加すると予想されている。
  • Covid-19 の間、英国の従業員で専門職レベルの雇用数は増加し、その他の雇用は減少した。大学卒業生は一時解雇されたり、非大学卒の職に就くことが少ない。
  • 人口知能により、医療関係、IT、マーケティングなどの分野において大卒者の需要が急速に増加すると予想されている。

同報告書では大学卒の就職市場の4つの主な神話に関して取り組んでいる。

 
神話1:今日では誰もが大学に通っている。

 
数年間、国民のどれぐらいが大学に行くべきかという議論があった。2020年末では、英国の労働人口の約半分弱(48%)が学位もしくはそれの同等な資格を持っていた。しかし半分以上が学位資格はなく、一度も取得していない。

 
神話2:大卒職が十分にない

 
どのぐらいの大卒職があるのか、もしくは大卒者がどのぐらい大卒職に就いているか、を計るのは大変難しく、一つの理由としては、大卒職とはどのように定義するかによる。

 
学生雇用者協会(ISE) のデータでは、Covid-19 以前の2019年より大卒職の求人が20%増加している。2021年に比べて、2022年は22%増加すると予想されている。

 
神話3:一部の学位は雇用者にとってほとんど価値がない

 
雇用者にとってどのぐらい学位が重要かという質問に答えることは難しい。しかし、あまり価値がないという意見は不正確である。

 
現在、英国の従業員は、能力が達していない従業員が、必要以上の能力を超えている従業員よりも多いが、とはいえ学位は重要である。学位は、例えその役割が従来の経路とは異なったとしても、様々な役割へとつながる魅力的な門戸経路である。

 
神話4:理想的な大卒職はロンドンに勢ぞろいしている。

 
ほとんどの大学卒者は、ロンドンで大卒職に就いているわけではなく、働いているわけでもない。

 
2019年の大学卒業者のうち大学卒業後6か月目においてロンドンで働いていたのは22%であった。年次人口調査(APS) のデータによると、2020年の年末時点では16-64歳のロンドンに在住している学位およびそれに準ずる学位を持った人は20%であった。

 
2018年には、42%の大学卒者は地元の大学に進学し、地元で就職をしている。北東地方、北西地方において大学卒の半分がこの項目に該当している。

 


英国大学協会(UUK): Busting graduate job myths  PDF file は こちら から


地域 西欧
イギリス
取組レベル 大学等研究機関レベルでの取組
大学・研究機関の基本的役割 教育
人材育成 学生の就職