【ニュース・イギリス】大学とカレッジはスキル格差および地域的不平等の問題に取り組むため、協力すべき

 
2022年2月7日、Independent Commission on the Colleges of the future は Civic University NetworkとSheffield Hallam University と共に新しい報告書の内容を発表した。「Going Further and Higher: How collaboration between colleges and universities can transform lives and places」という共同報告書は、英国の4か国からの事例や分析を示して、カレッジと大学の協働を呼び掛けている。

 
報告書では、もし16歳以降の教育や技能習得システムが、スキルの格差を狭め、経済回復の支援、ネットゼロの目標達成という差し迫った社会的な課題を解決することに資するのであれば、継続教育と高等教育が対立することがないようにすべきである、と述べている。

 
また、報告書では、不平等な投資、大学とカレッジの役割の不透明さが長年の不必要な緊張を招いたことを述べている。加えて、16歳以降の教育や技能習得システムが、学生や雇用者にとってあまりにも複雑で、理解することが困難となっているおり、教育機関同士の競争が悪化する原因となっていることを警告している。

 
さらに、カレッジ、大学、政府に対して、人々、雇用者、その地域への各機関の責任を共有し、教育と技能習得システムの構築に取り組むように呼び掛けている。この中で、政府に対する重要な提言として、よりバランスの取れた投資、新しい10年戦略を通じてカレッジと大学の相補的役割を明確にするように求めている。

 
更なる協議と4か国の教育界のリーダ―や政策立案者の意見に基づいて、報告書では人々、雇用者、コミュニティの支援のための教育機関同士の提携の青写真を用意している。提言は4か国の中で違いがあるが、既存の事例や政策に共通するものも多く含まれている。

 
強い地域ネットワークの構築を目標とした高等教育機関のリーダーへの提言

  1. ネットワークに参加する機関と同意し、既存の地理的な特性や専門性を採用する。
  2. 生涯学習を中心とした、地域の人々、雇用者、コミュニティーと密着した教育を開発し、非効率な重複、競争をなくす。
  3. 個々の関係を超えて、機関全体として提携に関与し、役割や責任を明確にする。

 
より良い教育と技能習得システムの構築のため4つの国の政府に対する提言

  1. 全ての人々に生涯学習を保証し、国家の最大の抱負として意欲的な10年戦略を立てる。
  2. 全ての教育や技能訓練のシステムに持続可能な資金提供を保証し、継続教育と高等教育のバランスの取れた投資を行う。そうすればカレッジや大学は、その地区の人々や雇用者、コミュニティの利益のために働くことができる。
  3. 高等教育や継続教育を受ける学生のため、年齢、出身環境、教育進路に関わらず学資ローンや奨学金などの生活費サポートを図る。
  4. 様々なタイプの教育やトレーニングについて、だれが行うかという縄張り争いを避けるために、カレッジと大学の相補的役割を明確にする。
  5. 4つの国の16歳以降の教育と技能習得システムのために、資金提供及び調整を行う機関を創設する。学習者の体験をより円滑にするため、より相補的な規制のやり方を実行する。

また報告書では、政策立案者、教育機関および教育機関のリーダーが参考にするための、英国全体の良い実例を多数掲載している。

 


The Colleges of the Future: 
NEWS: Universities and colleges must prioritise working together to address skills gaps and regional inequalities

Going further and higher:how collaboration between colleges and universities can transform lives and places

 
参考記事(University Business): Single funding system could resolve ‘tension’ between universities and colleges


 

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
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