【ニュース・イギリス】UKRI が研究者向けの履歴書導入

 
2021年12月16日、UK リサーチ・イノベーション(UKRI)は研究者向けの履歴書を開発したことを発表した。研究・イノベーションのための履歴書(R4RI)は、従来の履歴書に代わるもので、内容が豊富で、履歴書本人がいかに成果を上げたかを示しやすい形式になっている。

 
この履歴書は英国王立学会研究者の履歴書(R4R)を基にしており、これにより研究、イノベーション分野に携わる人々が、より広い活動や貢献を示すことができる。UKRI 全体に包括的で1つの形式の履歴書を採用することで、研究、チーム、社会への貢献をより良く表現できることになる。

 
研究・イノベーションのコミュニティとともに制作

 
UKRI は2021年4月より、研究者やイノベーターのこれまでの実績をより良く証明するための方法を導入しようと取り組んできた。それ以来、この新しい形式が UKRI の目的や使命と同時に、研究やイノベーションのコミュニティの必要性も盛り込んだものになるよう試作、考察、思考してきた。

 
申請者、審査員、その他の人々からの様々な意見をフィードバックし、R4RI は完全なものとなった。この R4RI は今後のいくつかの研究費の応募の際に試験的に利用され、利用する際のツールや資料が開発される予定である。

 
カルチャーの変革

 
UKRI は研究やイノベーション分野でのカルチャーの変革に関して支援することに努力していく。しかし UKRI だけが変化しても文化の変革は行われず、その主旨に賛同する人々が必要である。UKRI の役割の一つとして、国内外の研究やイノベーション分野のパートナーと協力し R4R に近い履歴書をそのコミュニティで採用することを支援することも行う。

 
UKRI の目的は、自分達が取り組んでいるアプローチについての情報を共有し、共通して利用できる方法を開発することである。これはこの分野でエビデンスベース共通の評価制度を確立する助けとなる。このやり方は下記の組織の戦略に沿ったものである。

  • 英国政府:ビジネス・エネルギー、産業戦略省(BEIS)の人事や文化戦略においてR4Rの履歴書の採用を推進することを約束している。
  • Science Europe(ベルギー、ブリュッセルを拠点とする研究資金提供組織と研究実施組織の協会):現在、受賞と業績について検討している。
  • 欧州委員会:研究評価システムの改正について報告書 ★1 を発表している。

R4R に近い形式の履歴書の採用を検討している人々のサポート

 
R4R に近い形式の履歴書の採用を支援するため、UKRI は以下のように、イベントを立ち上げてコミュニティを作るなどして実用的な普及を図った。

  • 共同出資グループ(JRG)は研究費の審査の過程における R4R に近い形式の履歴書の取り扱いについて模索し、その使用に付随する様々な情報源を開発する。
  • 英国大学協会(UUK)と共同し、職員の評価において R4R に近い形式の履歴書を試験的に利用する。例えば採用や昇進の際に利用する。
  • R4RI に関する国際ワークショップ(a Narrative CV Approach: What, Why & How?)を行い、R4R に近い形式の履歴書の利用に関して異なる組織から学び、参加者とともに様々な関係者が必要とするさらなる支援に関して共有する。このイベントは2022年3月21日10:30-13:30(GMT)オンラインで実施する。登録は2022年初め頃から開始される予定。

 
これらの仕事は、可視化された価値のあるものを評価するためのより効果的で、一貫し、包括的なアプローチが可能となることを通じて、カルチャーの変革に貢献するものである。R4RI に関する情報は新年度に UKRI のウエブサイトで発表される予定である。

 
★1 Scoping report: 決定する前にその問題の事項や方法を公開して広く意見を求める報告書

 


UK リサーチ・イノベーション(UKRI): UKRI introduces new Resume for Research and Innovation


地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
研究支援 研究助成・ファンディング、研究評価