【ニュース・イギリス】大学の財政状況は概ね健全だが、パフォーマンスに差

2016年3月21日、イングランド高等教育財政会議(HEFCE: Higher Education Funding Council for England)は高等教育機関の財政状況に関する最新の年次報告で、2014~15学事年度は、概して健全な経営であったと発表した。しかし、財政面で下位と上位の差が広がり続けており、増大する各機関のパフォーマンスの違いに警鐘を鳴らした。

 

全大学で£16億の黒字で(収入の5.8%)、前年の2013~14学時年度より£6億800万(3.9%)増加したことになる。しかしこの増額分にはResearch and Development Expenditure Credit scheme (RDEC)※という、1度限りの“例外的な収入”が含まれており、これを除いた場合、£12億(4.3%)の黒字となる。

 

黒字に貢献した要素として、海外からの学生の授業料£36億(前年度比£2億6,700万増)があるが、海外からの留学生数は減少傾向にあり、2015年7月時点では計画より2%少なくなっている。

 

また、Transparent Approach to Costing (TRAC)のデータによると、RDECの特別金を除いた場合、大学の研究活動費は£28億不足し、大学の全活動にかかる経費では£8億6,000万不足する。中長期的に大学が安定して活動を続けるために、より大きな黒字を生み出さなくてはならない。

 

2014~15学事年度に大学は基盤整備に£36億(前年度比9%増)を投資したが、このために、追加で£14億を借入し、大学の借入額は2015年7月において£78億となった。(1年で16%増)

 

各大学はこの夏に2019年7月までの財政見通しを報告する。

 

Higher Education Funding Council for England:Financial health of sector

 

※Research and Development Expenditure Credit scheme(RDEC):英国で研究開発への企業投資を促進するため、2013年に導入された税制上の優遇措置。

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価