【ニュース・イギリス】労働ビザ見直しの大学への影響

2016年3月24日、専門技能を必要とする労働ビザの改定を発表した。これは英国民の就業機会を確保するとともに、外国人労働者への依存度を減らすためである。

 

Tier2ビザを改定し、企業に低賃金外国人労働者の雇用をやめさせる一方で、英国経済の成長と生産性を引き続き支援するため、英国の技術基盤への投資を促すとともに、優秀な留学生については大学卒業後も英国に滞在し、就労する機会を与えることになる。

 

Home office (内務省)
GOV.UK:Visa changes to reduce reliance on foreign workers

 

また、この改革を促進するため、政府は新たに、Immigration Skill Chargeという課徴金制度を2017年4月から導入する。これにより、熟練者対象のビザを所持した従業員を雇用する場合、企業は1人につき1年間£1,000、小規模企業や慈善団体等は£364を支払うことになる。

 

なお、博士レベルの職に着く場合や、留学生が学生ビザから労働ビザに変更する場合、課徴金は免除される。これは英国の経済成長に資するような優秀な労働者や学生を留まらせるためである。

 

Department of Business, Innovation and Skills
GOV.UK:Government’s new Immigration Skills Charge to incentivise training of British workers

 

 

〔各機関の反応〕

 

・ラッセルグループ(Russell Group: 英国の大規模研究型大学24校で構成するグループ)

 

Wendy Piatt理事長は、“Immigration Skill Chargeの対象から、博士レベルポジションの者、学生ビザから労働ビザに切り替えた人を除外するという政府の決定は歓迎できる。大学は企業とは違う。大学の使命は知識を生み出し、イノベーションを起こし、人を育てることである。今回その違いが認められ、嬉しく思う。英国以外からの優秀な人材を誘致することは、大学の国際競争力を維持するとともに、国内の経済成長を後押しするものだ。” と述べている。

 

Russell Group:Changes to skilled worker visas

 

・Times Higher Education

 

新しく発表された外国人の雇用規制は、外国人学生に英国大学への進学を躊躇させることになるのではと移民法の専門家が警告した。

 

いくつかの免除規定はあるものの、もっと受け入れのいい国に優秀な外国人学生が流れ、結果的に英国での博士レベルの雇用に支障をきたす可能性がある。

 

現在、Tier2を取得して雇用されている者の多くが研究者の立場でありながら、給料は今回の最低給与額を下回っている。大学は今後、優秀な職員を失わないために雇用計画や給与体系の見直しが必要となる。

 

Times Higher Education:Overseas students: new work visa rules make UK ‘challenging’

地域 西欧
イギリス
取組レベル 政府レベルでの取組
人材育成 研究者の雇用、高技能職業人材の育成