【ニュース・イギリス】分野別での大学の質の等級付け

 
2018年3月12日、教育省(DfE:Department for Education)と大学担当大臣のSam Gyimah氏は、教育の質、学習環境や卒業後の結果についての説明責任を守らせるため、大学を分野ごとに金銀銅で評価する新たな制度を世界で初めて立ち上げることを発表した。
 
教育・学生成果評価(TEF:Teaching Excellence and Student Outcome Framework)を分野別のレベルへと拡大することにより(注:今回発表された制度は、既存の評価制度を分野別で施行するというものである)、政府は以下のことを狙っている。

  • 将来有望な生徒が大学教育から最大限のものを得ることを確実にするため、彼らが各大学の提供する各課程を比較することを支援する。
  • どの大学が質の高い教育を行っているか、そしてどの大学が何の努力もせず漫然としていたり研究面の評判に依存していたりするのかを明らかにするために、課程の質に光を当てる。

 
DfEは10週間に及ぶ公開審議を開始し、新しい制度の設計に関して意見を求めている。これは制度の試験的な実施と並行して行なわれており、試行にはUniversity of Cambridge やImperial College London、London School of Economics and Political Science(LSE)、De Montfort Universityやthe Open Universityを含む50の大学やカレッジが参加している。(注:本格的な分野別TEFは2019/20学事年度から開始の見込み)
 
GOV.UK:Universities to be rated by subject quality

【各メディアの反応】
 
○ガーディアン紙(The Guardian)
 
DfEによれば、分野ごとに金銀銅の評価が与えられ、学位を取得した後の就職見通し、予想される収入や中途退学率などの詳細が判明することになる。
 
この制度は、高等教育進学希望者に様々な大学の課程に関し比較のための情報をより多く与え、また質の悪い大学を浮き彫りにするための方法として政府が打ち出したもの。大学担当大臣のSam Gyimah氏は「より多くの学生が、高等教育から受けるに足るような学費に値する価値を得られることを確かにすることに役立つ」だろうと述べている。
 
The Guardian:Degree courses to be ranked in price comparison-type system[2018年3月12日付け]
 
○BBC News
 
英国学生連合(NUS:National Union of Students)は、等級付け制度の対象となる情報の隠れた側面について疑義を呈している。同連合の副会長であるAmatey Doku氏は「残念ながらTEFは教育の優秀性を図る上でほとんど何も成しておらず、それに分野別に拡大することは問題の解決にならない。用いられている測定の基準は教育の質についてほとんど何も教えてくれないが、代わりにそれは、大学にとって、教育の実践の継続的改善というよりも、測定の基準についての投機を企てるような扉を開くことになった。約束されていた、独立した機関によるTEFの見直しが進行中のところ、見直し結果としての勧告や学生の意見もなしにこうしたことを行なうというのは無責任な動きである。」と述べている。
 
BBC News:Degree courses to be rated gold, silver and bronze [2018年3月12日付]

 

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