【ニュース・イギリス】優秀な研究者の英国誘致のためRutherford基金の設立

2017年7月4日、ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS:Department for Business, Energy&Industrial Strategy)は、大学・科学担当大臣であるJo Johnson氏が高いスキルを持つ研究者誘致のために政府がRutherford基金*を開設し、£1億の投資をする事を発表した。
Rutherford基金は開発途上国や新興研究国といわれるインド、中国、ブラジル、メキシコの若手研究者~シニア研究者に対し奨学金を支給し、英国を世界トップレベルの科学研究国として維持することに貢献してもらうことを目的としている。

 

Jo Johnson氏は設立に当たり以下のようにコメントしている。
「研究とイノベーションは政府の産業戦略の目玉である。2016年秋期財政報告書において、政府は公共の研究開発に対して£47億という大幅な投資増加を発表した。首相は科学者やイノベーター、テクノロジー投資家に対し、英国が最も優れ魅力的な国であるよう、明確に指示した。 我々はEU離脱を控えているが、いつでも世界に向けて門戸を開いており、英国をイノベーションと発見のための世界の頭脳が集結する国にするため努力をしていく。」

 

研究とイノベーションは政府の産業戦略のメインとなるものである。2016年秋の予算案では、公共の研究と開発のための予算を大幅に増加させ、合計£47億支出するとした。2020~21年までに毎年£20億を追加で支出することになる。これは、1979年以来の政府支出のいずれの項目よりも高い増加率(約20%)となっている。
2017年、BEISの大臣であるGreg Clark氏は産業戦略チャレンジ基金(ISCF:Industrial Strategy Challenge Fund)を成立し、今後4年間に渡って£10億の投資を発表した。春の予算案では高い技術を持つ研究者の継続的な育成のため4年間にかけて£2億5,000万投資することも発表した。

 

基金は新組織UKリサーチ・イノベーション(UKRI:UK Research and Innovation)が2018年に設立されるまでは、イノベーションUKと英国研究会議(RCUK:Research Councils UK)が管理する予定である。UKRIは最高責任者に指名されたMark Walport卿の指導の下で産業戦略を通して英国の競争力を強化する役割を担う。

 

* Rutherford基金・・・University of ManchesterとUniversity of Cambridgeで教鞭をとり、原子核物理学の父と呼ばれ、ノーベル賞科学賞受賞のアーネストラザフォード卿にちなんでいる。24歳で出身国のニュージーランドからの英国に移民した。

 

GOV.UK:£100 million Rutherford Fund to attract best researchers to the UK

地域 西欧、アジア・オセアニア、中南米
イギリス、中国、ブラジル、その他の国・地域
取組レベル 政府レベルでの取組
行政機関、組織の運営 政策・経営・行動計画・評価
国際交流 国際化
研究支援 研究助成・ファンディング