2016年5月4日、英国の高等教育専門誌Times Higher Education（THE）が2016年の“World Reputaion Rankings”を発表した。
このランキングは研究者の評判調査に基づき行われるが、調査は15ヶ国語に対応しており、また、国連のデータをもとに、幅広く世界の学術界の意見を網羅するとともに、学術分野も偏りがないようにしている。調査はElsevier社が、経験と実績のある研究者のみを対象として行う。回答者は自身の経験に基づき、各分野で研究と教育の観点から最も優れていると考える大学を最大で15大学あげる（順位付けはしない）。アンケートは2016年1月から3月の間に実施され、133カ国から1万323件の回答があった。
スコアは、研究と教育を2：1の割合で採点し、1位のHarvard Universityを100として、それに対する各大学のノミネート数との比で算出されている。
米国はトップ100の中に43大学が入っており（うち28大学はトップ50）、英国は2番目に多く、10大学がランク入りしているが、昨年と比べると10大学のうち7大学が順位を下げ、ランク外になった大学も2大学あった。
アジア地域の大学は今回のランキングにおいて存在感を増しており、東京大学がアジアでトップの全体で12位、中国のTsinghua UniversityとPeking Universityはそれぞれ昨年に比べて8、11ランクあげて18位と21位についた。日本と中国ではそれぞれ100位以内にランク入りした大学が昨年2大学から5大学に増えた。また、韓国と香港も昨年に比べて1大学ずつ増え、韓国2大学、香港3大学が入った。Seoul National UniversityとHong Kong Universityは各国でのトップで同位の45位についた。
対照的にヨーロッパ地域の多くの大学がランクを下げた。ドイツは6大学、オランダは5大学がランク入りしているが、それぞれ4大学が順位を下げている。またデンマークとフィンランドは昨年それぞれ1大学ずつ入っていたが、今回はその姿を消した。
King’s College London政策研究所で高等教育を担当しているPaul Blackmore教授は「今回のアジアの快挙は“大学制度が着実に成長していきたこと”と“評価者の間で知名度が増してきたこと”が相まって結果を出した。我々が長年続けてきた欧米的高等教育観は通じないものになる可能性がある。」と述べた。
東京大学の五神真総長は、「最近まで大学は国内の学生を対象にしてきたが、今は世界に視野を広げてきており、国際的な展望を増すことが世界的な評価を安定的なものにするのに役立っている。留学生や海外の研究者の人数が増えると大学の評価は世界に広がり、同時にキャンパスも国際化できる。さらに、主要な国際共同研究への参画や戦略的なパートナーシップに基づく学生や研究者の交流、国際的な研究大学連盟（International Alliance of Research Universities）への参画などを通じ、国際的な高等教育コミュニティの中での連携関係が築き上げられるとともにその評判も伝えられる」と述べた。
世界名門大学ランキング2016 トップ10
| 順位 | 前年の順位 | 高等教育機関名 | 所在国あるいは地域 | 2016のQS世界大学 ランキング順位 |
| 1 | 1 | Harvard University | United States | 6 |
| 2 | 4 | Massachusetts Institute of Technology | United States | 5 |
| 3 | 5 | Stanford University | United States | 3 |
| 4 | 2 | University of Cambridge | United Kingdom | 4 |
| 5 | 3 | University of Oxford | United Kingdom | 2 |
| 6 | 6 | University of California, Berkeley | United States | 13 |
| 7 | 7 | Princeton University | United States | 7 |
| 8 | 8 | Yale University | United States | 12 |
| 9 | 10 | Columbia University | United States | 15 |
| 10 | 9 | California Institute of Technology | United States | 1 |
英・米・日本・東アジア諸国のランクイン大学数
| USA | UK | JAPAN | ASIA※ | |||||
| 2016 | 2015 | 2016 | 2015 | 2016 | 2015 | 2016 | 2015 | |
| TOP 10 | 8 | 8 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| TOP 50 | 32 | 26 | 8 | 8 | 2 | 2 | 5 | 8 |
| TOP 100 | 43 | 43 | 10 | 12 | 5 | 2 | 13 | 10 |
※Asia (South Korea, Singapore, Hong Kong, Taiwan and China)
日本の大学でランク入りした大学
| 順位 | 前年の順位 | 高等教育機関名 | 2016のQS世界大学 ランキング順位 |
| 12 | 12 | 東京大学 | 43 |
| 27 | 27 | 京都大学 | 88 |
| 51-60 | － | 大阪大学 | 283 |
| 61-70 | － | 東北大学 | 247 |
| 81-90 | － | 東京工業大学 | 125 |
Times Higher Education：World’s most prestigious universities 2016
Times Higher Education：World Reputation Rankings 2016
・世界名門大学ランキングトップ30の6年間の変遷
2011年に調査が開始されて以来の6年間の名門大学トップ30大学をみると、米国のColumbia Universityは毎年着実に順位を上げている一方で、東京大学は緩やかに下降線を描いている。英国の科学系のImperial Collegeと社会科学系のLondon School of Economics and Politicalは徐々に順位の差がなくなってきている。
●東京大学 ●京都大学
Times Higher Education：World Reputation Rankings 2016: how the top 30 places have changed
